2014 Fiscal Year Research-status Report
モデル生物を用いた匂いに対する嗜好性が変化するしくみの解明
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26430019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
広津 崇亮 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70404035)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 嗜好性 / 線虫 / 匂い経験 / 嗅覚受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 直前の匂い経験による嗜好性変化のしくみ 直前の匂い経験による嗜好性変化について、それを担う神経回路の同定および機能解析を行った。嗅覚神経から直接シナプス入力を受ける介在神経のうち、AIB、AIZ神経は単独、両方同時の機能阻害いずれにおいても嗜好性変化に影響がなかったことから、これらの介在神経は重要でないことがわかった。 嗜好性変化に重要であることが既にわかっているAIY、AIA神経の匂い経験の有無による活性変化は、以前はYC3.60を用いたカルシウムイメージングにより観察していたが、ダイナミックレンジが小さく、活性変化を十分に捉えきれてない可能性があった。そこで、ダイナミックレンジの大きいGCaMP6を導入して解析を行うことにした。AIA介在神経にGCaMP6を発現させたところ、単純な匂い刺激に対してYC3.60より大きい活性化を観察することができ、匂い経験後はその活性化が抑えられることがわかった。 AIA神経の匂い経験による活性変化にニューロペプチドシグナルが関与している可能性について検証した。その結果、NPR-11が嗜好性変化に重要な働きをすること、NPR-11はAIA神経で機能していることがわかった。 2. 匂いの濃度による嗜好性変化のしくみ 匂いの濃度による嗜好性変化について、ジアセチルに反応する嗅覚受容体の同定を行った。その結果、ODR-10は低濃度ジアセチル受容体としてAWA感覚神経で、新たに見つけたSRI-14は高濃度ジアセチル受容体としてASH感覚神経では働いていることを明らかにした。さらに、介在神経AIA、AIY、AIB、AIYにカスパーゼを発現させて神経破壊を起こし、嗜好性変化に対する影響を調べた。その結果、これらの介在神経の働きは低濃度、高濃度の時で違っており、嗅覚神経の下流の神経回路は濃度によって異なることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマ1、テーマ2いずれにおいても当初の計画通りに進展している部分が多く、論文発表、学会発表については計画以上に行うことができた。テーマ2については、Science姉妹誌に論文を掲載するなど、計画以上の進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ1については、MAPKのターゲット分子の同定について研究が進んでおり、論文として発表する。テーマ2に関しては、イソアミルアルコールだけでなく、最近我々が報告した癌の匂いに対する嗅覚受容体の同定も行うことで、匂いの受容メカニズムについて検証を更に進めていく。
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Research Products
(16 results)