2015 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム双方向情報処理システムを用いた動物の行動解析
Project/Area Number |
26430028
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
渡辺 英治 基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 准教授 (30250252)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メダカ / 魚 / 行動 / バーチャルリアリティ / 計算機モデル / トラッキング / 群れ / 情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、小型魚類の行動解析実験に最先端のリアルタイム双方向情報処理システムを取り入れ、小型魚類の群れ形成における個体間相互作用の重要性を明らかにし、群れ形成に関わる視覚情報とその数理モデル化を目指している。平成27年度としては平成26年度に作製をしたメダカの3Dアニメーションをメダカに提示することで群れ形成に関わる視覚情報を抽出する解析をさらに推し進めた。その結果メダカは同種他個体の動きの中でも特に大局的な運動に強く惹きつけられることが明らかとなった。本業績は、第38回日本神経科学学会(神戸)、第75回日本動物心理学会(東京)、Behaviour2015(オーストラリア)で発表した。さらに平成27年度としてはリアルタイム双方向システムの技術開発を進展させ、運動立体視を利用してキンギョ水槽中にバーチャルな障害オブジェクトを創り出すことに成功した。キンギョは実体としては存在しないバーチャルな障害を避けるような行動を示した。この成果は、第78回情報処理学会全国大会(横浜)にて報告を行った。学術雑誌での発表は現在準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の段階は、リアルタイム双方向情報処理システムに使用予定の小型魚(メダカ)の3Dアニメーションと運動立体視を利用したリアルタイムトラッキングシステムがほぼ完成をした。さらに、このメダカの3Dアニメーションが、実際にメダカを十分に惹きつける能力を持っていること、色や形や動きが変容するとメダカを惹きつける能力が弱まることが明らかとなった。この実験結果は3Dアニメーションの性能の高さを示しいる。またリアルタイムトラッキングシステムも、現実には存在しないバーチャルな立体物の構築に成功しており、これが小型魚にも応用可能であることを示した。研究プロジェクトは順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は本研究プロジェクトの最終年度になる。完成したメダカの3Dアニメーション及びリアルタイムトラッキングシステムを利用してリアルタイム双方向情報処理実験を進めていく。リアルタイムトラッキングシステムは現在のところキンギョ用として開発をしたものである。これはキンギョの鮮やかな赤い体色を利用することで電子計算機による高速リアルタイムトラッキングを実現するためである。野生型メダカの体色は黒(クロメダカ)あるいは薄いオレンジ(ヒメダカ)であるため本システムを利用することは困難であるが、最近品種改良によって体色に鮮やかな赤を持つメダカ(楊貴妃)が利用できるようになってきた。最終年度では、この楊貴妃メダカによって小型魚類の群れ形成における個体間相互作用の重要性を明らかにし、群れ形成に関わる視覚情報の検証実験を行っていく。
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Causes of Carryover |
平成27年度では、使用した研究費の大半は高速カメラとメダカの3Dアニメーションの作成に費やした。当初同期カメラと三次元トラッキングソフトの購入を予定していたが、ソフト開発を試行錯誤しているため購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ソフトの開発状況を見据えながら、購入予定であった機器の購入を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)