2014 Fiscal Year Research-status Report
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26430033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 達也 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (00568222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隅 典子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00220343)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 形態形成 / 神経回路形成 / ドーパミン / 大脳皮質 / 前頭前野 / 錐体細胞 / 樹状突起 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの大脳皮質前頭前野へ電気穿孔法により効率良く遺伝子導入をするため、新しい3極電極を開発した。左右の前頭前野に遺伝子導入できることを確認したが、今後さらに改良を続ける。従来の2極電極では、左右両方の前頭前野へ遺伝子導入することは、不可能ではないが非常に難しかった。この新手法の開発は、当初の計画にはなかった予想外の進展であり、前頭前野への遺伝子導入が簡便となり研究が進むことが期待される。また、Fgf8aおよびFgf8bをマウス前頭前野領域において強制発現させたところ、劇的な形態学的変化は見られなかった。今後、より詳細な組織学的変化を調べる予定である。ドーパミンシグナリングに関しては、レセプターD1RおよびD2Rに対するshRNAを設計し、発現ベクターの構築を行った。また、D1RおよびD2Rの発現ベクターの作成を早く終えたため、生後の大脳皮質錐体細胞においてレセプターを強制発現させる実験を行った。D1Rを強制発現させた場合、樹状突起が短くなる傾向が見られた。これに対し、D2Rを強制発現させた場合、樹状突起が長くなると同時に直線的になる傾向が見られた。以上の結果は、思春期や成体の時期ではなく、生後間もない発生初期のイベントである樹状突起の形態形成にドーパミンシグナルが関与している可能性を初めて示唆したものである。今後、多くの錐体細胞について統計的な解析を行い、形態変化を定量化していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、新手法を開発することができた。また、D1R・D2Rの発現実験により非常に興味深い結果が得られた。本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き3極電極を改良し、マウス前頭前野への遺伝子導入法を確立する。また、Fgf8aおよびFgf8bをマウス前頭前野領域において強制発現させ、より詳細に組織学的変化を調べる。ドーパミンシグナリングに関しては、レセプターD1RおよびD2Rに対するshRNAの発現ベクターの有効性について検討する。阻害剤や条件変異マウスの利用も考える。D1RおよびD2Rの強制発現させた時の形態変化について、Neurolucidaなどの解析ソフトを用い、多くの錐体細胞について統計的な解析を行い、形態変化を定量化していく。
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Causes of Carryover |
当初、大脳皮質錐体細胞の形態を観察するため、抗体を購入し免疫染色をする予定であったが、蛍光タンパク質によって形態の観察が可能だったので、抗体を購入する必要がなくなった。したがって、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3極電極の開発に費用がかかることが予想されるので、次年度使用額はこの開発費用のために使用する予定である。
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