2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26430041
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
星 秀夫 東邦大学, 医学部, 助教 (30568382)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 修 東邦大学, 医学部, 講師 (20459762)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 網膜 / 神経節細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの網膜は,脳に視覚情報を送る前に既に,従来から考えられていたよりも多くの仕事を行っている.例えば,網膜が行った仕事の結果を最終的に脳に送る網膜神経節細胞は,約20種類のサブタイプを持ち,そのそれぞれが独自の視覚的側面に関する仕事を行い,その結果を脳に送っていると考えられている.この多様性を生み出すに際し重要なのは,神経節細胞につながるまでの神経回路の構成方法である.ところが現在の研究では,ある特定の神経節細胞につながる神経回路のみが詳細に研究されているだけで,未解決の部分が多いのが現状である.代表者はこれまでウサギ網膜を用いて新規神経節細胞や新規経路をいくつか発見してきた.これらの結果は,網膜が行っている新たな仕事を想像させるものであった.近年のトランスジェニック動物やウイルスなどを用いた遺伝子技術の発展により,特定の細胞を標識することが可能になってきた.しかしこれらの技術を用いても約20種類のサブタイプをすべて同定することはできていない.しかも,これらの技術を駆使することができるのはある特定の動物種に限られているという問題点がある.ところで,ある生命現象を追及する場合,研究者は最適なモデル動物を用いることを考える.代表者の研究では,本研究の目的に最適な脊椎動物のキンギョを用いているが,キンギョは遺伝子技術を駆使することができていない動物の一つである.そこで本年代表者は,細胞内色素注入法という古典的な技術を用いて様々な細胞に直接色素を入れて新規細胞の同定を集中して行った.現在代表者は,動物行動と結びつきそうな興味深い新規細胞の発見という結果を得つつある.また,機能は現状では不明であるが,新規回路網も発見しつつある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メインテーマからの派生実験であるが,いくつかの発見をしつつある.代表者はキンギョ網膜において,新規細胞と新規回路網の発見を証明する形態学的な実験結果を得てきている.現在は論文作成のための詰めの形態学的実験を始めたところである.
|
Strategy for Future Research Activity |
上記形態学的実験結果に関する論文をまず準備する予定である.その後,代表者が発見した新規細胞が行う視覚に関する仕事を,視覚心理学的手法を併用した電気生理学実験で明らかにしていきたい.これらの結果と形態学的な実験結果と合わせて論文を作成するかどうかについては現在検討中である.また,代表者が発見した新規細胞が,キンギョのみならず,ヒトを含めた動物で共通にみられる細胞であるのかを比較検討したい.さらに,新規回路網に関する研究も同時に進める予定である.
|
Causes of Carryover |
本年度は,年度末に解析用のPCの故障があったため,申請していた消耗品の使途を急遽変更してPC(デスクトップのみ)を購入せざるを得なかった.抗体購入に充てようと考えていた予算の中から捻出したため,若干の予算が残った.少しでも予算の無駄な使用を避け,次年度の抗体購入の費用の一部に充てさせていただくために,次年度使用額が生じてしまった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,本年度の予算と合わせて,抗体購入,機器購入,学会参加費などに充てる予定である.
|
Research Products
(4 results)