2015 Fiscal Year Research-status Report
CRMPの神経回路形成および神経再生における役割の解明と脊髄損傷治療への応用
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26430043
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大島 登志男 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20311334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cdk5の基質であるCRMP2を中心にCRMPの機能解析を行なった。昨年度、CRMP4欠損マウスにおいて、脊髄損傷後の回復が野生型に比べて良いことを報告した(Nagaiら,2015)。2015年度は、CRMP2のリン酸化の抑制が脊髄損傷からの回復に有利に働くとの仮説を立ててCdk5によるCRMP2のリン酸化が起きないCRMP2KIマウスを用いて検証した。脊髄損傷後にCdk5, GSK3によるCRMP2のリン酸化が起きることが確認できた。次に、CRMP2KIと野生型のマウスに脊髄損傷を起こして、運動機能回復をBMSスコアで、感覚機能の回復をhot plateでの温度上昇に対する反応として、それぞれ術後4週間検討した。その結果、野生型に比べ、CRMP2KIでは、運動機能及び感覚機能の回復が顕著に良好であった。また、DRGニューロンのCSPGに対する反応が減弱していること、BDNFへの反応が上昇していることなどが分かった。このDRGニューロンの反応性の変化が感覚機能回復に寄与していると考えられた。また、機能回復は組織学的検討でも裏付けけられた(Nagaiら, 2016)。 また、遺伝子改変マウスを用いて、CRMPが神経細胞の樹状突起の発達に関連していることを示してきたが、今回はスパイン密度について検討した。特に、Cdk5,その活性化サブユニット p35欠損マウスにおいては、スパイン数の減少の報告がある。今回CRMP2KIマウス海馬においてスパイン密度を検討し、CRMP2KIマウスにおけるスパイン密度の減少を観察した(Jinら, 2016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、予備的に得られていた脊髄損傷後の回復を、マウスの匹数を増やして、より確実な実験結果とすることであったが、今回それが達成され、学術誌への掲載となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が最終年度であるため、CRMPの神経系の発達での役割の解明を終える予定である。具体的には、CRMP変異マウスの多重欠損の表現型を脳構築、神経回路形成にフォーカスして、研究を進めており、それを完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
マウスの交配の状況により、計画していた実験が一部行えなかったため、2016年度に行なう目的で、次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度予算と合わせて、繰越分は物品費(主に試薬等の消耗品)として使用する計画である。
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