2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞骨格調節因子FILIPの神経突起伸展調節機構に関わる機能解析
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26430045
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
八木 秀司 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10303372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (10222019)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経突起 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄神経節からの神経線維の伸展へのFILIP遺伝子の関与について、wholemount immunohistochemistry法を用いて検討した。その結果、同腹のコントロールに比べて、FILIP遺伝子欠損マウスの2匹は、神経線維伸展の遅延傾向を認めた。そこで、免疫組織化学法を用いて末梢神経の皮膚への伸展度合いを検討した。末梢神経のマーカーであるPGP9.5の抗体では、皮膚に到達している神経線維の数に有意な差を認めなかった。また、末梢神経の分画の一群に発現しているCGRPを有する神経線維の動向についても大きな差を認めなかった。また、脊髄神経節の細胞を培養して神経細胞の軸索伸展の検討を行ったが、現在までには、使用したマウスの数に限界があり、結論を得ていない。 次に、アクトミオシンの動向を検討するにあたり、まず、FILIPが結合すると考えられるアクチン結合蛋白の動態を免疫組織化学的に検討した。その結果、脊髄神経節内での発現動態には大きな差を認めなかった。しかしながら、この研究過程でFILIPの欠損により、胎生期の脊髄神経節内で神経細胞の密度に違いが生じている可能性を見出している。 軸索の伸展に関わる細胞表面の受容体などの検討を行った。その結果、Neuropilinが脊髄神経節に発現しており、その発現細胞群の中には、FILIPを発現している細胞が含まれている可能性を見出した。しかしながら、大脳皮質でFILIPと関与する可能性があった、Plexin分子の発現は弱いことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の半ば以降、マウスの飼育状況の変化、特にマウスのラックの形状の変更による照明および環境の変化が生じたことが一つの原因と考えられるFILIP遺伝子欠損マウスの妊娠率・育仔成功率の低下が生じた。このため、実験に供せるマウスの供給が困難になった。研究予定では、マウスの初代培養神経細胞を用いて行う研究が多く、このため、実験の遂行に遅れが生じている。一方、マウスを用いる実験以外では、実験は比較的順調に遂行している。 全体としては、マウス由来の初代神経細胞を用いる実験が主体であったため、達成度に関しては計画より進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は研究計画に従い、研究を遂行していく予定である。研究遂行上、問題となっていた、マウスの供給に関しては、平成26年末より本学動物実験施設と共同で飼育環境の改善を図った。その結果、現在、妊娠率、育仔成功率ともに上昇しており、マウスの安定供給に目処がたった。今後は、安定的なマウスの供給を行い、平成26年度にマウスの不足により中断した大脳皮質の神経細胞および脊髄神経節の初代培養細胞を用いた神経突起伸展に関わる細胞骨格制御機構の検討を行う。 また、脊髄神経節内での発現を確認したNeuropilinなどの受容体の発現変化について検討を行う。その結果を基に、神経細胞の突起伸展に関わる受容体に及ぼすFILIPの影響に関しても検討を行う予定である。さらに、脊髄神経節で認めた細胞密度の違いに関して、細胞周期に関わる問題であるか検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度の半ば以降、マウスの飼育状況の変化が生じたことが一つの原因と考えられるFILIP遺伝子欠損マウスの妊娠率・育仔成功率の低下が生じた。このため、実験に供せるマウスの供給が困難になり、実験の遂行に遅れが生じた。このため、研究費の使用に関して、請求額との差が生じ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
飼育環境を改善することで、現在、FILIP遺伝子欠損マウスの安定供給に目処が立ち、マウスの不足により遂行できなかった研究も実施できる見通しが立ったため、次年度使用額は、平成26年度予定していた神経突起伸展に関わるFILIPの細胞骨格制御機構の検討を中心に使用する予定である。また、マウスの供給など、不安が無くなったため、翌年度に予定していた研究も予定通り遂行する。
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