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2015 Fiscal Year Research-status Report

脂質代謝からみた悪性グリオーマの特性と幹細胞性維持機構

Research Project

Project/Area Number 26430056
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

鈴木 諭  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90294917)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsグリオーマ / 脂質代謝 / 糖代謝 / 免疫組織化学 / 細胞培養 / ウェスタンブロッティング
Outline of Annual Research Achievements

1.前年度グリオーマで見出した脂質代謝関連蛋白CPT1CとFASNの発現パターンの普遍性を確かめるため、髄芽腫におけるCPT1CとFASNの発現について同様の検討を行った。髄芽腫外科標本13例において免疫組織組織科学的に検討した結果、グリオーマと同様に髄芽腫の全症例で組織型に関わりなくCPT1Cは主に核に発現し、FASNは主に細胞質に発現した。このことから、腫瘍細胞におけるCPT1Cの核内移行は少なくともある種の悪性腫瘍細胞に共通して起こっている現象であることが確認された。
2.前年度、ヒトグリオーマ細胞株U87、U373を低血清・低グルコース濃度(2% FBS/17.5mMグルコース/DMEM)の条件で馴化させ、通常の培養条件(10% FBS/25mMグルコース/DMEM)とほぼ同等に継代可能な細胞を得た。これにより、血清やグルコースが代謝の基底状態に及ぼす影響がより低減された実験系が得られた。本年度はこれらの細胞を用いて代謝経路への実験的介入を行い、グリオーマ細胞における脂質代謝関連蛋白の発現を解析し、以下の結果を得た。
1)1mMメトホルミンの添加により、低血清・低グルコース培養において、U373の増殖が通常培養よりも顕著に抑制された。2)メトホルミン添加低血清・低グルコース培養において、細胞質内の脂肪酸合成酵素Acetyl-CoA Carboxylase (ACC)が減少し、リン酸化ACC1が核内に移行した。3)両グリオーマ株ともに低グルコース濃度の幹細胞培養条件において良好なsphere形成が得られた。
3.低血清・低グルコース濃度の条件に馴化したU373を用いて、分散接着培養および幹細胞培養条件化で形成させたsphereからそれぞれtotal RNAを抽出し、マイクロアレイ解析により遺伝子発現の変動を検討した。その結果、細胞増殖関連分子、細胞外マトリックス受容体、代謝動態関連分子などにおいて多くの遺伝子発現が変動していた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年に引き続き、グリオーマ細胞における脂質代謝動態について今後の機能的解析の基盤となる重要な基礎的データや実験材料の準備を整えることができたため。

Strategy for Future Research Activity

1)リン酸化ACC1およびCPT1Cの核内移行の分子機構と生物学的意義の解析:引き続き、免疫染色とwestern blotによって細胞質分画と核分画におけるACC1およびリン酸化ACC1、CPT1Cの発現量の変化を調べ、リン酸化ACC1およびCPT1Cの核内移行の分子機構を解析し、その腫瘍における生物学的意義を検討する。
2)グリオーマ細胞株からの腫瘍幹細胞分離と脂質代謝動態の検討:マイクロアレイ解析で発現に変動のあった分子に関して蛋白レベルでの発現解析および機能的解析を進める。また、新たにメトホルミンを加えた培養条件での遺伝子発現の変動を網羅的に解析する。
4)Metabolic stress による幹細胞性の導入と脂質代謝動態の検討:グリオーマ幹細胞は低脂質環境、低グルコース環境、低酸素環境、化学療法剤の存在下など多様なストレス環境を生き延びる能力を備えていると考えられる。そこで、こうしたストレス環境下で培養したグリオーマ細胞と幹細胞性の関係を検討し、グリオーマ幹細胞の代謝特性の環境との関係を明らかにする。
5)グリオーマ幹細胞の動物への移植実験:脂質代謝動態の判明したグリオーマ幹細胞をヌードマウスの脳に移植し、親株との比較の下にin vivoにおける増殖、進展形式と脂質代謝関連蛋白の発現との関連を組織学的に検討し、脂質代謝がグリオーマの生体脳における生物学的動態におよぼす影響を解析する。

Causes of Carryover

次年度使用額相当分のマイクロアレイ受託解析を発注したが、受託先の作業の遅れにより年度内に解析結果の納品および受託費の請求が行われなかったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

マイクロアレイの解析結果の納品と請求が完了した時点で次年度繰越分をもって支払う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] グリオーマ細胞の糖・脂質代謝研究に有用な細胞培養条件の確立2016

    • Author(s)
      北川 玲華
    • Organizer
      第34回日本脳腫瘍病理学会学術集会
    • Place of Presentation
      東京都
    • Year and Date
      2016-05-28
  • [Presentation] MedulloblastomaにおけるCPT1CとFASNの発現亢進2015

    • Author(s)
      若宮 富浩
    • Organizer
      第34回日本脳腫瘍病理学会学術集会
    • Place of Presentation
      高松市
    • Year and Date
      2015-05-29

URL: 

Published: 2017-01-06  

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