2014 Fiscal Year Research-status Report
アンギオテンシン受容体による脳内アミロイド蓄積制御機構の解明
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26430057
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
鄒 鶤 岩手医科大学, 薬学部, 講師 (40450837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドベータ蛋白 / アンギオテンシン受容体 / 高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)では、脳内アミロイドβ蛋白(Aβ)蓄積の機構の解明が重要な課題となっている。高血圧症、特に中年期の高血圧症はADの危険因子とされており、臨床疫学研究では降圧剤投与が認知障害の発症を抑制という結果が報告されている。しかし、一部の降圧剤は、ADの発症を増悪するとの報告もある。我々は、血圧調節に重要なアンギオテンシン変換酵素(ACE)が、毒性の強いAβ42をAβ40に変換する活性(Aβ変換活性)を有することを明らかにした。また、新たにアンギオテンシン受容体タイプIa(AgtrIa)の欠損は、脳内Aβ蓄積を顕著に阻害することを明らかにしている。 今年度は、AgtrIa がAβ産生に関与するか否かを解析した。我々は、14か月齢のAgtrIa欠損ADモデルマウスでは、脳内のAβ沈着が顕著に減少していることを見だしましたが、しかし、Aβ産生の減少によるものなのか、あるいは、Aβの分解・除去の促進によるものなのかは不明である。まず、我々は、Aβの沈着が少ない若い8か月齢のマウス脳を用いてAβ42およびAβ40のELISA定量を行い、AgtrIa 受容体欠損によりAβ産生に影響があるか否かを検討した。その結果、脳内のAβがAgtrIa 受容体欠損マウスでは減少しており、AgtrIa 受容体欠損がAβ産生に影響を与えていることを示唆した。さらに、我々は、AgtrIa欠損ADモデルマウスの胎児線維芽細胞を初代培養し、Aβ42およびAβ40のELISA定量を行った結果、Aβ産生の減少を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、アンギオテンシン受容体タイプIa(AgtrIa)の欠損は、脳内Aβ蓄積を顕著に阻害することを明らかにしている。脳内Aβ蓄積におけるAgtrIaの作用機構を明らかにするため、昨年度の研究は、AgtrIaがAβ産生を抑制するのか、あるいは、Aβの分解・除去を促進するのかを明らかにすることが目的であった。我々は、AgtrIaの欠損がAβの分解・除去を影響せず、Aβの産生を著しく抑制することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
脳内Aβ蓄積におけるAgtrIaの詳細な作用機構を明らかにするため、hAPP/AgtrIa+/+、hAPP/AgtrIa+/-ならびにhAPP/AgtrIa-/-マウスの胎児線維芽細胞を初代培養し、Aβ産生に関わるα-secretase、β-secretaseおよびγ-secretaseの発現や活性を確認する。AgtrIaによるAβの産生制御機構を明らかにする。 また、Angiotensin II が脳内のAβ沈着に与える影響を明らかにする。8か月齢のhAPP/AgtrIa+/+マウスは、脳内Aβが沈着し始め、わずかに観察される。angiotensin II を8か月齢のhAPP/AgtrIa+/+およびhAPP/AgtrIa-/-マウス腹腔内に週2回、6か月間注射し、14か月齢マウス脳内のAβ沈着が増加するのかを検討する。 アンギオテンシン受容体阻害薬(ARB) が脳内のAβ沈着を減らすか否かを明らかにする。臨床に使用されている約十種類のARBをhAPP/AgtrIa+/+、hAPP/AgtrIa+/-ならびにhAPP/AgtrIa-/-マウス胎児線維芽細胞に添加し、Aβ40、Aβ42およびAβ43の産生が変化するか否かを明らかにする。市販のAβ ELISA キットで定量する。
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Causes of Carryover |
今年度よりも次年度では、ELISAキットによるAβの定量解析が多数回に予定しているためである。また、マウスに試薬を投与する実験は、マウスの繁殖状況により次年度に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、AβのELISAキットの購入やアンギオテンシン受容体阻害薬の購入に使用する予定である。
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[Presentation] アンギオテンシン受容体による脳内アミロイド蓄積制御機構の解明.2014
Author(s)
Kun Zou, Junjun Liu, Shuyu Liu, Yukino Matsumoto, Saki Murakami, Chiaki Tanabe, Tomoji Maeda, Makoto Michikawa, Hiroto Komano
Organizer
第57回日本神経化学会大会
Place of Presentation
奈良市
Year and Date
2014-09-29 – 2014-10-01