2015 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病:食物由来のアミロイド-β蛋白抑制物質の併用療法と環境療法の探索
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26430058
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
森 隆 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60239605)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経病理学 / アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / 遺伝子改変マウス / フェノール化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに有効性を明らかにしてきた食物由来フェノール化合物のコンビネーション投与による認知機能障害の改善・軽減効果への相乗効果の研究を行った。即ち、1)Aβ蛋白産生系を抑制する化合物であるferulic acid(β-secretase modulator)そして2)非Aβ蛋白産生系を亢進する化合物octyl gallate(α-secretase modulator)を組み合わせた併用投与を行った。アルツハイマー病の病態モデルマウス(PSAPPマウス)に、12ヵ月齢から3ヵ月間(15ヵ月齢まで)、胃ゾンデを用いて0.2 mL(総投与量)/mouse(20-30 mg/kg)を24時間毎に経口投与して、その効果を単独投与群そして対照群と比較検討した。また、wild-type littermateマウスにも同様の投与を行い比較検討した。その結果、これらの化合物を併用投与すると、PSAPPマウスで観察される新規物体認識障害、探索行動における過活動、空間作業記憶障害、短期記憶障害などの行動学的障害が単独投与群よりも有意に改善し、相乗効果が得られた。併用投与したマウスの改善効果は、同様の投与を行ったwild-type littermateマウス群と有意差がないレベルにまで改善した。また、単独投与群でも対照投与群と比較してこれらの行動学的障害が有意に改善した。何れの化合物の投与も、正常マウスの認知機能亢進には影響しなかった。さらに、両薬剤を併用投与したPSAPPマウスは、単独投与と比較して、脳実質のAβ沈着及び脳内Aβレベルも有意に減少させた。これらの効果は、両薬剤のアミロイド前駆体蛋白の段階的酵素切断への相乗的な干渉に関連していた。以上の結果は、ferulic acid及びoctyl gallateの併用投与が、アルツハイマー病の病態で最も重要視される行動学的障害及び脳アミロイド症の病態軽減に相乗効果があることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に実施した継続研究として、平成27年度はPSAPPマウスそしてwild-type littermateへの12ヵ月齢から3ヵ月間(15ヵ月齢まで)の胃ゾンデを用いた24時間毎の各群マウスへの経口投与を完了した各群マウスから摘出された脳を用いて、病理組織学的そして生化学的解析を実施した。両薬剤を併用投与したPSAPPマウスは、単独投与と比較して、脳実質のAβ沈着及び脳内Aβレベルも有意に減少させた。これらの効果は、両薬剤のアミロイド前駆体蛋白の段階的酵素切断への相乗的な干渉に関連していた。26-27年度に予定していた各投与群のマウスにおける行動学的解析、病理組織学的解析、生化学的解析が完了できた。継続的に得られたデータから、1)Aβ蛋白産生系を抑制する化合物であるferulic acid(β-secretase modulator)そして2)非Aβ蛋白産生系を亢進する化合物octyl gallate(α-secretase modulator)を組み合わせたセクレターゼ標的薬剤の併用投与が、アルツハイマー病の病態改善にさらに有効であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28-29年度においては、1)Aβ蛋白産生系を抑制する化合物であるferulic acid(β-secretase modulator)そして2)非Aβ蛋白産生系を亢進する化合物epigallocatechin gallate(α-secretase modulator)を組み合わせた併用投与のアルツハイマー病の病態改善効果を検討する予定でいる。平成28年度は、認知機能障害の改善・軽減効果への相乗効果を研究する予定でいる。アルツハイマー病の病態モデルマウス(PSAPPマウス)そしてwild-type littermateへの12ヵ月齢から3ヵ月間(15ヵ月齢まで)の胃ゾンデを用いた24時間毎の各群マウスへの経口投与を行う予定でいる。投与開始時点そして3ヵ月間の投与後に、行動学的解析を行い、単独投与群そして対照群と比較検討する予定でいる。行動学的解析は、新規物体認識試験、Y字迷路試験、放射状水迷路試験を実施する予定でいる。これらの行動学的解析により、PSAPPマウスで観察される新規物体認識障害、探索行動における過活動、空間作業記憶障害、短期記憶障害などの行動学的障害の軽減あるいは改善効果を見る。
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Research Products
(6 results)