2015 Fiscal Year Annual Research Report
母体炎症に伴う胎児脳ミクログリアの炎症性変化を誘導する頭部間葉の免疫系構築
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26430061
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石井 さなえ 静岡県立大学, 融合科学研究科(研究院), 客員共同研究員 (40435863)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炎症 / 脳 / 嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの結果から、髄膜・脈絡叢・血管周囲腔に存在する細胞群が、末梢の炎症応答を脳に伝達する主体であることがわかった。しかしながら、嗅球にはこれらのルートを介さずに炎症応答が伝達される可能性が考えられた。そこで本年度は、成体マウスの鼻腔にLPSを片側投与し鼻腔に炎症を起こした後、嗅球にそれがどのように伝達されるかを調べた。 成体マウスの片側鼻腔にLPS(1mg/mL)あるいは生理食塩水を10μLずつ隔日で投与し、1, 3, 6, 9回投与後、最後の投与から3日目にマウスを固定し解析した。その結果、嗅上皮には投与1回後に多くの好中球や単球が集積し、単球は炎症性サイトカインIL-1bを高発現した。嗅神経が発現する様々なタンパクがLPS投与側でのみ発現が減少し、嗅神経が傷害されていることが示された。投与回数が増えるにつれ、嗅神経の傷害はより拡大した。嗅球には、LPSを1回投与した後に好中球や単球の侵入が見られ、局所的に脳炎が起こることが示された。また、嗅球内のミクログリアやアストロサイトはLPS投与側でのみ活性化した。糸球体付近のチロシン水酸化酵素の発現は、LPS投与6回後から減少し9回投与後には有意に発現が減少したことから、嗅球の傍糸球体細胞のうち、チロシン水酸化酵素陽性細胞が傷害を受けたことが考えられた。さらに、外網状層におけるvGLUT1の発現がLPS投与9回後に有意に減少したことから、ここに存在する房飾細胞が傷害を受けることが示された。 以上の結果より、鼻腔で生じた炎症は嗅球に伝達され、嗅球の神経細胞を損傷させたといえる。このことは、鼻腔を介して末梢の炎症が脳に伝達されたことを示しており、嗅覚系独自の炎症伝達経路であると考えられた。
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[Journal Article] Increased recruitment of bone marrow-derived cells into the brain associated with altered brain cytokine profile in senescence-accelerated mice.2016
Author(s)
Hasegawa-Ishii, S., Inaba, M., Li, M., Shi, M., Umegaki, H., Ikehara, S. and Shimada, A.
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Journal Title
Brain Struct. Funct.
Volume: 221
Pages: 1513-1531
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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