2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病態に好発するうつ病の分子病態メカニズムと速やかに臨床応用可能な治療法の解明
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26430062
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宮田 茂雄 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40366836)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病 / セロトニン / 内側前頭前皮質 / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者はうつ病の併発率が高く、その結果として血糖コントロールが不良となり、糖尿病慢性合併症の発症率も高くなる。そのため、糖尿病がうつ病を引き起こす分子病態生理を解明し、その治療法を確立することが急務である。申請者は以前から糖尿病モデル動物の脳機能変化に注目し、うつ病発症の要因となるメカニズムの解明を目指してきた。本研究はその一環であり、特に抑うつ症状と関連の深い内側前頭前皮質のセロトニン神経に着目して、糖尿病状態がその機能に与える影響について研究するものである。 昨年度と同様のプロトコールで糖尿病モデルマウスと対照マウスを作製した。ペントバルビタール麻酔下にて採血後にホルマリン灌流固定を施し、脳を摘出し、オーバーナイトの追加固定を行った。この脳組織からビブラトームを用いて薄切片(50μm)を作製し、セロトニントランスポータータンパク質(SERT)を免疫組織学手手法により染色することでセロトニン神経線維を可視化した。採取した血液はヘパリンを加えることで凝固を阻止し、遠心分離(1000×g、10分、4℃)後に上清を採取して血漿サンプルを得た。 免疫染色法を浮遊切片染色法に変更し、さらに切片の前処理方法に修正を加えることで、S/N比の高いSERTタンパク質染色像を得ることができた。糖尿病モデルマウスと対照群マウスの内側前頭前皮質におけるSERT陽性神経線維の密度をImage Jにより定量解析した結果、糖尿病モデルマウスでは対照群と比べてSERT陽性神経線維が少ない傾向が認められたが、統計学的な有意差は認められなかった。このことから、糖尿病モデルマウスに認められる行動学的異常は、セロトニン神経線維の形態変化ではなく、機能的変化に起因する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の課題であったセロトニン神経線維の免疫染色法の修正に関して、切片の前処理方法と染色方法を変更することでS/N比の高い染色像を得ることができた。また、病態モデルと対照群との比較を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画時の仮説では、糖尿病モデルマウスの内側前頭前皮質においてセロトニン神経線維の形態学的変化が認められることを想定していた。当該年度に行った実験の結果、形態学的変化というよりはむしろ機能的変化である可能性が強くなり、実験内容の修正を要する。マイクロダイアリシスなどの技術を取り入れ、セロトニン神経の機能変化に注目した実験を進める計画である。
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Causes of Carryover |
試薬を期間限定の割引価格で購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の試薬購入費に充てる。
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