2015 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞に対する新規治療標的分子としてのプログラニュリンの検討
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26430066
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下畑 享良 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (60361911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲哉 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20515663)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プログラニュリン / TDP43 / 脳梗塞 / 神経細胞保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 組み換えPGRNの脳虚血に対する効果の検討 ラット自家血血栓塞栓モデルを用いて,PGRNのt-PAとの併用効果について検討を行った.このモデルは血栓溶解薬t-PAで再灌流を行い,ヒトの脳梗塞に類似した治療可能時間を有するモデルである.治療可能時間を超えた虚血4時間の時点で,t-PAと組み換えPGRN蛋白を同時に投与すると,コントロール蛋白を同時投与した場合と比較し,虚血24時間後の脳浮腫や脳出血合併症は有意に減少し(P < 0.05およびP < 0.01),さらに梗塞サイズも縮小した(P < 0.01).さらに,機能予後も有意に改善した(P < 0.01).以上より,t-PAとPGRNの併用療法は,脳梗塞に対する脳保護療法の有望な候補となる可能性が示唆された. ② 神経保護作用のメカニズムに関する検討 PGRNによる神経細胞保護効果は,TDP-43のloss of functionの防止に基づくという仮説を立て,検証を行った.ラット血栓塞栓モデルにて,虚血4時間後に,tPAとPGRNないし対照(IgG)の静注を行い,虚血24時間後,免疫ブロットにて活性型caspase-3,TDP-43(全長型,C末断片)の発現を比較した.またPGRN KOマウスと野生型マウスにおいて,一過性脳虚血24時間後のTDP-43の細胞内局在を免疫染色にて比較した.この結果,血栓塞栓モデルの対照群では,活性型caspase-3増加,全長型TDP-43の減少と25 kDa C末断片の増加を認めたが,PGRN投与群ではこれらの変化が抑制された.またPGRN KOマウスでは,野生型と比較して,虚血後のTDP-43の細胞質への異常局在を認める神経細胞の頻度が多かった(P < 0.01).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上に研究は進展し,すでに特許出願を行った.さらにこのまま計画に従って検討を進め,産学連携に繋げたい.
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Strategy for Future Research Activity |
脳虚血患者血清におけるPGRN濃度をELISAにより定量し,種々の臨床評価項目との相関を調べる.
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Causes of Carryover |
本年度の途中に,本創薬シーズに対する評価が高まり,産学連携が実現し,これに伴う外部資金の獲得ができた.つまり物品費を外部資金から使用することができたため,当初予定していた物品費を使用しなかったため次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
外部資金は翌年度途中に終わるため,次年度使用額は物品費や海外発表のための旅費として使用する予定である.
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