2014 Fiscal Year Research-status Report
うつ病の病態及び治癒機転におけるリゾホスファチジン酸シグナル伝達の役割
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26430082
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山田 光彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 部長 (60240040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 顕宜 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (00366832)
山田 美佐 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 科研費研究員 (10384182)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リン脂質 / 情動行動変化 / 不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は、うつ病の治癒機転に重要な遺伝子の網羅的探索を行った結果、リゾホスファチジン酸(LPA)シグナル伝達に関わる遺伝子やLPAを修飾する遺伝子を複数同定したことから、LPAシグナル伝達がうつ病に関連すると着想した。しかし、LPAシグナル伝達系の情動における機能についてはほとんど明らかとされていない。そこで本研究では、LPAシグナル伝達系の情動行動への影響を検討することを目的とした。 初年度である本年度は、LPAを実験動物脳室内に投与し、情動行動変化を複数の評価系で検討した。ホールボード試験においてLPA投与群では、濃度依存的、時間依存的にhead dip countを増加した。高架式十字迷路試験においてLPA投与群では、濃度依存的にオープンアームの滞在率を減少した。強制水泳試験においてLPA投与群では、無動時間が有意に延長し、水泳行動時間が有意に短縮した。自発運動量測定試験においてLPA投与群では、総移動距離、立ち上がり回数に変化がなかった。Y字迷路試験においてLPA投与群では、自発的交替行動率に変化がなかった。以上より、LPAは運動機能や記憶に影響することなく情動行動を変化させることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の初年度である本年度は、LPAの情動行動変化への影響を複数の評価系で検討することを計画した。計画どおり、情動、不安、うつ、運動量、記憶に対する各試験(ホールボード試験、高架式十字迷路試験、強制水泳試験、自発運動量測定試験、Y字迷路試験)を行い、LPAによる行動変化を明らかとした。本研究成果は欧文誌に受理され、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、LPAによる情動行動変化のメカニズムを明らかにするため、LPAを脳内局所に投与し情動行動変化を検討することにより脳内作用部位を明らかにする。また、脳切片へのLPAの添加によりグルタミン酸の放出が増加したという電気生理学的研究報告があることから、本研究では、実験動物へのLPA 局所投与後のシナプス間隙のグルタミン酸濃度の定量をマイクロダイアリシス法により行う。また、病態モデルマウスを作成し、LPAシグナル伝達系との関連を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
購入しようとしていた製品が入手困難であり、他社の製品を購入しようとしたが価格が予定より高く、購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の助成金と合わせて目的の製品を購入予定である。
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Research Products
(5 results)