2017 Fiscal Year Research-status Report
ヘルペスウイルス潜伏感染マウスモデルを用いたアルツハイマー型認知症発症機構の解析
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26430096
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 聖一 福岡大学, アニマルセンター, 准教授 (30264344)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / 潜伏感染 / アルツハイマー病 / マウスモデル / βアミロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
理化学研究所脳科学総合研究センターから導入したAPP<NL-G-F>マウスを用いてヘルペスウイルス潜伏感染下アルツハイマー病モデルに使用可能かどうかを検討したところ、潜伏感染モデルは構築可能であった。感染2ヶ月後における脳内βアミロイドは野生群に比べて上昇していた。Y字迷路については潜伏感染群と非感染群との間に有意な認知機能の差を認めた。いずれの試験も再活性化させた群と潜伏感染のみの群との間に有意な差は認められなかった。APP<NL-G-F>マウスはSAMに比して短期間で実験を進めることができる上にAPP×PS2 ダブルトランスジェニックマウスのような煩雑な繁殖を要することがなく、モデルマウスとして非常に有用である。 SAM マウスについてはSAM P1マウスよりも認知機能の低下がより顕著に現れるSAM P8マウスを用いて、潜伏感染ウイルス再活性化後の認知機能について検討した。Y字迷路および新規物体認知試験については感染後2ヶ月目にウイルスを再活性化させた群でのみ有意に認知機能低下の抑制が認められた。感染後6ヶ月目に再活性化させた群では、潜伏感染のみ、もしくはウイルス感染させなかった群との間に有意な差は認められなかった。以上のことからオーエスキー病ウイルスを潜伏感染させたSAM P8マウスではウイルス感染後2ヶ月目にウイルスを再活性化させるとアルツハイマー病の病態が改善される可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初使用を予定していたダブルトランスジェニックマウスの搬入に時間を要した影響が残っている上にAPP<NL-G-F>マウスの繁殖に思いの外時間がかかっており、実際の実験に取り掛かる時期が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
SAMP10マウスが実験モデルとして使用可能かどうかを検討する。 これまで評価したマウスモデルのうち、最も有用と思われるモデルを選抜し、並行して構築を行なっているワクチン株の有効性を検討する。
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Causes of Carryover |
使用する遺伝子組み換えマウスを自家交配で得る実験が続いているため、特に動物購入費が抑えられているためと考えられる。今後は市販マウスの購入が増えるので差額は縮小していくものと考えている。
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