2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘルペスウイルス潜伏感染マウスモデルを用いたアルツハイマー型認知症発症機構の解析
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26430096
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 聖一 福岡大学, アニマルセンター, 准教授 (30264344)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / ヘルペスウイルス / オーエスキー病 / 潜伏感染 / 老化促進モデルマウス / SAMP10 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病と単純ヘルペスウイルス感染関連の報告を確認するために豚ヘルペスウイルス(オーエスキー病ウイルス)潜伏感染マウスモデルを用いて研究を行っている。昨年度までに老化促進モデルマウス(SAM)の一系統であるSAMP1マウスを用いてウイルス潜伏感染下における脳内βアミロイドの状態を確認したところ、感染後2ヶ月目にウイルスを再活性化させた群で脳内βアミロイド値が低くなることを示した。また、SAM P8マウスを用いて感染後2ヶ月目にウイルスを再活性化させた群でのみ有意に認知機能低下が抑制されることを報告した。これらも結果を受けて本年度は正常老化のモデルとされるSAMP10マウスを用いて潜伏感染ウイルス再活性化後のアルツハイマー様病態に対する影響について検討した。4週令 SAMP10マウスにブタ抗オーエスキー病ウイルス血清を前投与し、30分後に100LD50相当のYS-81で攻撃して2カ月以上生残したマウスを潜伏感染マウスとした。感染後2ヶ月または6ヶ月目にアセチルコリン投与あるいは同居飼育によりウイルス再活性化を誘導し、鼻腔洗浄液からPCR法によってウイルス遺伝子の検出を行った。6ヶ月目の再活性化試験後にY字迷路試験を行い、試験終了後に脳を採取してELISA法によりβアミロイドの検出を行った。SAMP10は他のSAMと比較してウイルス感受性が低く、アセチルコリン感受性が高く見られた。Y字迷路および脳内βアミロイドについては、潜伏感染のみもしくはウイルス感染させなかった群との間に有意な差は認められなかった。以上のことから潜伏ヘルペスウイルスの再活性化に伴うアルツハイマー病の発症にはなんらかの病原因子の存在を必要とする可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に使用を予定していたダブルトランスジェニックマウスの搬入に時間を要したことが最後まで影響している上にAPP<NL-G-F>マウスの繁殖にも思いの外時間がかかったために、それぞれの実験に取り掛かる時期が後ろ倒しになっている。また、潜伏ウイルスの再活性化抑制法の構築にも手間取っており、今現在、系の評価にまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
潜伏ウイルスの再活性化抑制のために使用を予定しているワクチン株の構築を急ぎ進め、これまで評価したマウスモデルのうち最も有用と思われるモデルを選抜して最終的な動物モデルの評価まで完了したい。
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Causes of Carryover |
各年度で使用する動物の手配に時間を要したため、研究期間の延長を申請した。これに伴って最終年度の研究を遂行・完了する。助成金は研究に必要なマウス、消耗品の購入に充てるほか、研究発表のための旅費、最終的に論文化する際の校正費に使用する予定である。
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