2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of candidate brain cancer-causing genes that were identified by transposon mutagenesis
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26430108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高祖 秀登 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (50612876)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グリオーマ / トランスポゾン / ミュータジェネシス / LARP4B |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍の中でも悪性度が高いグリオーマは、脳実質内で浸潤性に増殖し、根治的切除が困難なため再発を繰り返し予後不良である。近年のゲノム解析により数多くの遺伝子変異が同定されているが、いまだ十分に機能が分かっていない遺伝子も多い。申請者は、トランスポゾン・ミュータジェネシス法を用いて、マウス神経幹細胞にトランスポゾン挿入変異を導入することで、グリオーマ幹細胞を作成した。本研究では、グリオーマから同定した新規がん抑制遺伝子として、RNA結合タンパクであるLARP4B(La-related protein 4B)遺伝子に着目し、機能解析を行った。LARP4B遺伝子は、グリオーマの半数以上で片アレルの欠損を認め、アレル欠損は予後不良因子である。実際、初代培養したグリア細胞でLARP4Bをノックダウンしたところ、増殖能が亢進した。さらに免疫不全マウスの脳に移植した結果、脳腫瘍を形成することが明らかになった。一方、グリオーマ細胞株においては、LARP4B遺伝子の発現は低下している。そこで、グリオーマ細胞株にLARP4B遺伝子を導入したところ、増殖を強く抑制できることが明らかになった。LARP4Bのがん抑制効果は、グリオーマ細胞株のみならず、初代培養したグリオーマ幹細胞でも確認できた。LARP4Bの導入により、CDKN1Aの発現上昇を認め、その結果増殖が抑制されたと考えられた。一方、LARP4Bは、BAXの発現上昇を引き起こし、アポトーシスを誘導した。CDKN1AとBAXのmRNAは、LARP4Bと直接結合することが明らかになったことから、LARP4Bは、これらのmRNAの安定性を高めることで、細胞増殖抑制やアポトーシスを誘導すると考えられた。今後、LARP4Bがグリオーマを抑制する分子メカニズムをさらに解析することで、新規治療薬の開発につながることが期待される。
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Research Products
(7 results)