2014 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境におけるアミノ酸トランスポーターLAT1の役割
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26430121
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
末弘 淳一 杏林大学, 医学部, 助教 (80572601)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アミノ酸トランスポーター / LAT1 / 血管内皮細胞 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん微小環境下の新生血管における中性アミノ酸トランスポーターLAT1 の発現・機能解析を目的とし、本年度は① LAT1の発現・プロモーター解析、②LAT1選択的阻害薬JPH203を用いたin vitro内皮機能解析を行った。 ① 8週令のC57BLマウスを用いて各臓器におけるLAT1の発現を免疫組織化学にて検討したところ、生理環境では脳血管内皮細胞、大動脈内皮細胞の一部で発現が見られた。また、病的環境ではB16F10マウスメラノーマ固形腫瘍内の血管の一部にて高い発現が見られた。in vitroにおいて臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に血管内皮増殖因子(VEGF)、腫瘍壊死因子(TNFα)をそれぞれ作用させると、LAT1及び機能的なヘテロ二量体を形成する4F2hcが数時間以内に誘導された。以上より、病的環境で分泌される増殖・炎症因子がLAT1を誘導し、その機能を亢進させる可能性が示唆された。LAT1遺伝子の翻訳開始点上流2kbpをルシフェラーゼ発現ベクターに組み込み、責任領域の同定を行ったところ、5'-UTRを含むGCリッチ領域のみで全長と同等の活性が確認された。 ② HUVECにLAT1選択的阻害薬JPH203を作用させ、MTTアッセイにて増殖抑制の用量反応関係を検討したところ、IC50: 5-10μMとなり、真皮微小血管(HDMVEC)、真皮リンパ管(HDLVEC)内皮細胞でも同様の傾向が確認された。また、Propidium Iodideを用いたフローサイトメトリーにより細胞周期の検討を行ったところ、内皮細胞にてJPH203はG0/G1期でのアレストを誘発する一方、細胞死は誘導しないことが確認された。以上で見出されたLAT1阻害による増殖抑制に伴い、スクラッチアッセイにおける細胞遊走、マトリゲル上三次元培養におけるチューブ形成が損なわれることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画していたLAT1の発現解析、LAT1選択的阻害薬JPH203を用いたin vitro内皮機能解析を順調に終え、1) 病的環境においてLAT1の発現・機能が亢進すること、2) LAT1発現が血管内皮細胞の増殖、遊走、チューブ形成に寄与することを明らかにした。また、LAT1プロモーター解析については責任領域を絞り込めたことから、各種刺激に対する応答性、転写因子結合部位の検討を行っている。以上の通り、当初予定していた計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られたLAT1発現・機能解析の成果をもとに、ex vivo、in vivoでの機能解析を計画通り進めていく。具体的には種々の癌細胞を皮下に移植して担癌マウスを作製し、JPH203を静脈または腹腔投与することにより、抗血管・抗腫瘍効果を免疫組織化学にて確認する。また、LAT1阻害にともなう増殖抑制の分子メカニズムを明らかにするため、マイクロアレイを用いた遺伝子発現の検討、修飾ヒストン抗体を用いたクロマチン免疫沈降法によるエピジェネティックスの変化を検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度までの成果を途中経過も含め国内外の学会で発表する計画であったが、その予定を次年度以降に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はJPH203による抗腫瘍メカニズムのin vivo解析を行うことから、実験動物であるマウスの購入・飼育費用を計上する。また、LAT1の下流にあるシグナル伝達の分子メカニズムを明らかにする目的として、DNAマイクロアレイによる網羅的発現解析、クロマチン免疫沈降法によるエピジェネティックス解析を進めることから、細胞培養試薬・器具、DNAマイクロアレイ関連試薬、クロマチン免疫沈降法に用いる修飾ヒストン抗体を購入する計画である。前年度繰り越した経費は得られた研究成果を国内外で発表する旅費として用いるとともに、一部を前述の消耗品費用として充当する予定である。
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[Journal Article] Cross-enhancement of ANGPTL4 transcription by HIF1 alpha and PPAR beta/delta is the result of the conformational proximity of two response elements.2014
Author(s)
Inoue T, Kohro T, Tanaka T, Kanki Y, Li G, Poh HM, Mimura I, Kobayashi M, Taguchi A, Maejima T, Suehiro JI, Sugiyama A, Kaneki K, Aruga H, Dong S, Stevens JF, Yamamoto S, Tsutsumi S, Fujita T, Ruan X, Aburatani H, Nangaku M, Ruan Y, Kodama T, Wada Y.
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Journal Title
Genome Biol.
Volume: 15(4)
Pages: R63
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Direct evidence for pitavastatin induced chromatin structure change in the KLF4 gene in endothelial cells.2014
Author(s)
Maejima T, Inoue T, Kanki Y, Kohro T, Li G, Ohta Y, Kimura H, Kobayashi M, Taguchi A, Tsutsumi S, Iwanari H, Yamamoto S, Aruga H, Dong S, Stevens JF, Poh HM, Yamamoto K, Kawamura T, Mimura I, Suehiro J, et. al.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 9(5)
Pages: e96005
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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