2015 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境におけるアミノ酸トランスポーターLAT1の役割
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26430121
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
末弘 淳一 杏林大学, 医学部, 助教 (80572601)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アミノ酸トランスポーター / LAT1 / 血管内皮細胞 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん微小環境下の新生血管における中性アミノ酸トランスポーターLAT1の発現、機能解析を目的とし、本年度は①DNA マイクロアレイによる網羅的発現解析、②Aortic ring アッセイによるex vivoでの血管新生の検討を行った。 ① LAT1選択的阻害薬JPH203を100μMにて臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)へ24時間作用させ、DNAマイクロアレイにより網羅的発現解析を行った。コントロールに比して、JPH203処理細胞では4倍以上に発現が上昇したプローブが212、減少したプローブが488見出された。DAVIDを用いたジーンオントロジー解析では、変動した遺伝子の多くが細胞周期、DNA複製、細胞骨格に関わる遺伝子として分類された。特に、Cyclin D2の上昇、CyclinA2、B1の減少、ATF4をはじめとするストレス応答性遺伝子の誘導が顕著であり、LAT1阻害で生じた必須アミノ酸の欠乏によるストレス応答によって細胞増殖が抑制されている可能性が示された。 ② C57BL/6マウスから摘出した大動脈をマトリゲル内へ埋め込み、種々の濃度でJPH203を作用させて血管新生への影響を検討した。ヒト内皮細胞で遊走、増殖抑制が見られた濃度(10-100μM)では血管新生の抑制が見られなかった一方、より高濃度(100-500μM)で内皮、線維芽細胞の遊走が顕著に抑制されることが明らかとなった。このようなマウス、ヒト内皮細胞間でのJPH203感受性の違いが何に起因するかについて現在検討中であるが、アフリカツメガエル卵母細胞上に発現したマウス、ヒトLAT1間ではアミノ酸取り込みに関するJPH203の用量反応関係に差がみられないことから、LAT1タンパク質の種間の違いによるものではなく、他のアミノ酸トランスポーターの発現や間葉系細胞の存在などの要因が影響しているものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27-28年度を通して計画している研究の中、LAT1阻害時の1)網羅的遺伝子発現解析、2) ex vivoにおける血管新生に関する検討を順調に終えることができた。その他予定していたLAT1プロモータ解析については、各種刺激下でのプロモータ活性、転写因子結合部位の検討を昨年度から継続して進めているところである。以上の通り、当初予定していた計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に行ったDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析によって、JPH203作用時に発現変動する遺伝子を同定できたことから、平成28年度は代表的な遺伝子について、各種シグナル伝達阻害薬を用いた定量PCR法、修飾ヒストン抗体を用いた免疫沈降法により、どのような機序で発現変化がもたらされているかを検討していく予定である。また、Aortic ringアッセイの検討結果をもとに、担癌マウスにおける抗血管新生作用がみられるJPH203の作用濃度の検討し、抗腫瘍効果がみられるか解析を進めていく計画である。
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Causes of Carryover |
国内外での学会発表を予定していたが、その一部を次年度以降に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出張費用として使うとともに、一部を消耗品費用として充当する。
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