2014 Fiscal Year Research-status Report
癌細胞特異的成熟mRNA再スプライシング現象の網羅的影響解析及び発生機序の解明
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26430124
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
亀山 俊樹 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (60298544)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RNase R / 成熟mRNA再スプライシング / がん / 異常スプライシング / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はヒト正常前立腺上皮細胞およびヒト前立腺癌細胞DU145の全RNAから投げ縄状RNAを濃縮した後、次世代シークエンス解析用ライブラリーを構築、パイロット的に配列を解読した(Lariat-seq)。詳細は現在解析中であるが、癌細胞で成熟mRNA再スプライシングを受けるmRNAを効率よく探索するにはさらにRNase R処理の条件検討を行う必要がある結果であった。今後RNaseR処理条件をさらに検討し成熟mRNA再スプライシングにより生じるトランスクリプトーム異常を詳細に解析していく予定である。 一方、成熟mRNA再スプライシングに影響を及ぼす因子については興味深い知見が得られた。がん組織の内部は低酸素環境となっているが、低酸素下は癌細胞の治療抵抗性や転移の誘発など様々な問題となっている。我々は、この低酸素環境が成熟mRNA再スプライシングに対してどのような影響を及ぼすか検討した。様々な癌細胞に対しCoCl2処理により擬似的に低酸素ストレスを与え、リアルタイムPCRによりTSG101遺伝子の異常産物を定量したところ、多くの細胞でTSG101遺伝子の異常再スプライシングの頻度が上昇する事を見いだした。今後は低酸素ストレスにより発現変動する因子の中から、スプライシング反応停止機構にかかわり、成熟mRNA再スプライシングに影響を及ぼす因子の実体をつきとめその作用機構を明らかにする。さらに、Lariat-seqを正常細胞と癌細胞の比較だけでなく低酸素ストレスを与えた条件下のものとも比較していきたいと考えている。こうすることで、がん組織内低酸素環境による治療抵抗性や転移誘発などを引き起こす原因となる異常トランスクリプトームの新側面を見いだすことが出来るのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNase R処理による次世代シークエンス解析用ライブラリー作製には実験技術的な困難が伴ったが、なんとか次世代シークエンス解析を行う事ができた。さらに、米MITのChris Burge研究室を訪れBurge研にて開発されたブランチ部位解析プログラムをもらい受けると共に解析手法についてのトレーニングを受け帰国後の解析につなげることができた。 また低酸素ストレスを与えることにより、多くの細胞でTSG101遺伝子の異常再スプライシングの頻度が上昇する事を見いだし、成熟mRNA再スプライシング制御因子の探索に重要な手懸かりを得ることが出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Lariat-seqは平成26年度の実験結果を踏まえ再度慎重にRNaseR処理条件検討した後ライブラリーを作製し次世代シークエンスを行う。その後MIT, Chris Burge研究室開発のブランチ部位探索プログラムを用いてLariat-seqで得られた大量シークエンスのマッピングを行う。ブランチ部位の配列が判明するとmRNA配列のどこからどこまでが異常にスプライシングで除去されるか予測出来るため、この情報を基に成熟mRNA再スプライシング候補遺伝子全てについて、癌細胞で実際に再スプライシングが起きているか否かをRT-PCRで検証する。成熟mRNA再スプライシングの普遍性を明らかにする為にこの実験は乳癌、前立腺癌、膀胱癌、白血病の細胞株ならびに対照となる正常細胞を用いて比較を行い、さらにインフォームドコンセントによる承諾を受けた臨床検体も用い、候補遺伝子のmRNA再スプライシングが株化した細胞だけでなく実際の癌組織で生じているのか検証する。 また、平成26年度の研究により低酸素ストレスによりTSG101mRNAの再スプライシング頻度が奥の細胞で上昇することが明らかになったので、まず、mRNA-seqにより低酸素ストレス有り・無しにより発現変動する遺伝子を探索する。さらに同時に正常細胞と癌細胞で発現変動する遺伝子の探索も行い、2つの比較で共に発現変動する遺伝子を絞り込むことで、より効率的に成熟mRNA再スプライシング制御因子の探索を行いたいと考えている。また平成27年度以降に予定している生化学的な成熟mRNA結合蛋白質の探索、siRNAライブラリーを用いた探索においても同じ細胞をもちいて低酸素ストレス有・無による比較することが重要であると考えている。
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Causes of Carryover |
海外研究発表出張旅費を文部科学省科学研究費新学術領域研究がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動「研究者海外派遣事業」で支援を受けた為旅費支出が無くなった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シークエンサーの解析にかかる経費が大きい為、消耗品費に充当し有効に活用する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Fluvoxamine moderates reduced voluntary activity following chronic dexamethasone infusion in mice via recovery of BDNF signal cascades.2014
Author(s)
Terada K, *Izumo N, Suzuki B, Karube Y, Morikawa T, Ishibashi Y, Kameyama T, Chiba K, Sasaki N, Iwatae K, Matsuzaki H. and *Manabe T.
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Journal Title
Neurochem. Int.
Volume: 69
Pages: 9-13
Peer Reviewed
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