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2015 Fiscal Year Research-status Report

HTLV-1 HBZタンパク質によるストレス応答シグナルの撹乱

Research Project

Project/Area Number 26430128
Research InstitutionTokushima Bunri University

Principal Investigator

大島 隆幸  徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (10397557)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
KeywordsHTLV-1 / HBZ / 発がん / オートファジー / 翻訳後修飾 / ユビキチン
Outline of Annual Research Achievements

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は、成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1随伴脊髄症/熱帯痙性麻痺(HAM/TSP)の原因となるレトロウイルスであり、感染者は世界で約2000万人、日本では約120万人と推定されている。感染者の約5%が平均60年の潜伏期間を経てATLを発症する。これら疾患の発症とウイルスゲノムのマイナス鎖にコードされるHBZタンパク質との関連が注目されているが、その細胞内での機能はほとんど明らかにされていない。
これまでにHBZと結合する宿主因子の網羅的探索とその生理学的意義について研究を行い、今年度、HBZの核外輸送と細胞質での機能を明らかにした。本研究ではストレス応答におけるHBZの作用を解析し、外界刺激に対する細胞応答への撹乱機序を明らかにすることを目的に研究を行った。その結果、ゲノムDNAの損傷時や飢餓状態でその発言が誘導される細胞質因子GADD34との相互作用を介して、GADD34依存的オートファジーの誘導を顕著に抑制することを明らかにした。この抑制には、HBZの細胞質輸送と局在化が必須であり、またGADD34との相互作用も重要であった。しかしGADD34と相互作用できない変異型HBZにおいてもオートファジー抑制作用が認められたことから、HBZにはGADD34以外のオートファジー活性化経路も抑制している可能性が示唆された。
現在、その経路に関して解析を行うとともに、新たに見出したユビキチンープロテアソーム系を介したタンパク質分解シグナルへの作用機序に関しても解析を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2014年にHBZの核外輸送メカニズムに関して報告し、細胞質でのHBZの機能を中心に研究を展開してきた。これまでにGADD34依存的なオートファジー誘導を抑制すること、またその抑制にはGADD34との相互作用を介さない経路の存在を示唆する結果を得た。その後の詳細な解析により、HBZのオートファジー抑制作用には、翻訳後修飾の一つであるリン酸化を介した宿主因子のシグナルネットワークの撹乱が関与している結果を得ている。またユビキチンープロテアソームを介したタンパク質分解系への影響も見出しており、今後の予定として、これら2つの細胞内分解経路に与える影響を詳細に解析するとともに、細胞のがん化やウイルスの生存に関する新たな知見が得られるものと期待できる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策として、患者由来のがん細胞を用いた細胞生物学的な解析とともに、生体内での生理学的意義に着目して研究を展開する。具体的な方策として、HTLV-1によるT細胞の白血病化は、くすぶり型から慢性型、そして最終的に急性型へと転換することが知られており、それぞれの細胞株が樹立されている。それらの細胞を使って、HBZの作用点を詳細に解析することにより、多段階に発がんへと至る分子メカニズムを明らかにしたい。そして日本に約100万人程存在するHTLV-1のキャリアのATL発症を予防、治療法の基盤構築になるような新薬の創製に貢献できると考える。
またHBZの機能解析は、HTLV-1が原因である他の疾患(HAM/TSP、ぶどう膜炎など)の発症メカニズムや治療戦略に対しても重要な知見を与えることが期待できる。

Causes of Carryover

物品購入に係る消耗品一式が、思ったより使用する頻度が少なかったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

最終年度となる今年は、消耗品一式を有効に使用し、また研究成果を発表するための学会参加費、旅費等に充てる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] HTLV-1 bZIP factor suppresses the centromere protein B (CENP-B)-mediated trimethylation of histone H3K9 through the abrogation of DNA-binding ability of CENP-B.2015

    • Author(s)
      Risa Mukai and Takayuki Ohshima
    • Journal Title

      J. Gen. Virol

      Volume: 96 Pages: 159-164

    • DOI

      10.1099/vir.0.070201-0

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] HTLV-1 bZIP factorによるCullin1の機能抑制メカニズムの解析2015

    • Author(s)
      向井理紗、丹由香里、田中雄也、大島隆幸
    • Organizer
      第2回 日本HTLV-1学会
    • Place of Presentation
      東京大学医科学研究所
    • Year and Date
      2015-08-27
  • [Remarks] 世界レベルで高い評価、日本人初の快挙!向井さん国際新人賞受賞

    • URL

      https://www.bunri-u.ac.jp/info/news/20160401.html

  • [Remarks] 本学卒業生の向井さんが、2016年「ロレアル・ユネスコ女性科学賞-国際新人賞」を受賞しました。

    • URL

      http://kp.bunri-u.ac.jp/topics/2732.html

URL: 

Published: 2017-01-06  

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