2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26430134
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
落合 雅子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所動物実験部門, 主任研究員 (90150200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筆宝 義隆 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所動物実験部門, 客員研究員 (30359632)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 正常肺3D培養 / in vitro肺発がんモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
正常小腸3次元(3D)培養細胞において、「in vitro発がん再構成」の手法を既に確立し、肝内胆管由来細胞でも、3D培養が可能であり、in vitro発がん再構成を確認した。このように、様々な正常臓器由来の3D培養細胞で「in vitro発がん再構成」が可能と考えられ、肺を用いて、正常3D培養細胞を用いた遺伝的再構成によるin vitro肺発がんモデルの構築を目指した。 3D培養の条件検討において、EGF添加無血清培地への、あるシグナル伝達関連因子の阻害物質である低分子化合物XとII型肺胞上皮細胞の誘導の報告がある成長因子Yの添加が有効であると平成26年度に報告した。本年度は、低分子化合物Xの2条件で、遺伝的再構成[陰性コントロール、Krasの活性化のみ、Krasの活性化に加えてがん抑制遺伝子AのshRNAによる抑制 (Krasの活性化+shGeneA)]を行い、ヌードマウス皮下での腫瘍形成能を解析した。Xが低濃度の条件で、Krasの活性化のみでは、異型性を獲得せず、Krasの活性化+shGeneAの遺伝的再構成を行うと、異型性を獲得することを見出し、この培養条件を用いることにした。 化学物質の肺発がん性のin vitro評価系への応用には、用量設定が重要である。経時的変化も観察可能な既存の96 well baseの細胞生存性試験が、マトリゲルを基材とする肺3D培養細胞にも応用可能なことを見出した。肺3D培養細胞への化学物質の暴露方法を確立し、実際、大気汚染物質である、タバコ煙中に含まれる発がん物質Bを肺3D培養細胞に暴露させると、用量依存的に細胞生存性に影響した。化学物質の細胞生存性への影響と、化学物質に暴露させた細胞のヌードマウス皮下での腫瘍形成能との関連を解析する必要があるが、化学物質の細胞生存性への影響は、用量設定の指標に十分なりうると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、正常肺組織の3D培養条件を決定した。また、Krasの活性化に加えてがん抑制遺伝子AのshRNAによる抑制の遺伝的再構成を行うと、ヌードマウス皮下に異型性のある腫瘍を誘発したので、「遺伝的再構成によるin vitro発がんモデル」は構築できたと考える。 細胞への化学物質暴露と組み合わせた化学物質の肺発がん性のin vitro評価系の構築への応用」に関しては、用量設定に、既存の96 well baseの細胞生存性試験が応用可能であることを見出し、肺3D培養細胞への化学物質の暴露方法も確立した。ハイスループットに用量設定ができる可能性を示した。 しかし、「肺発がん分子機構の解明のためのがん遺伝子候補の発がんへの影響の解析」や「遺伝的再構成した細胞を用いた遺伝子発現解析からの発がん関連要因の候補の探索」に関しては、進まなかったので、「遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
正常肺3D培養の方法は確立し、「遺伝的再構成によるin vitro発がんモデル」は構築できたので、以後、下記の解析を行う。また、最終年度であるので、これらの結果を取りまとめて、論文発表を行うことを目指す。 1.化学物質の肺発がん性のin vitro評価系への応用:モデル化合物を用いて、化学物質の細胞生存性への影響と、化学物質に暴露させた細胞のヌードマウス皮下での腫瘍形成能との関連を解析する。用量設定後に、化学物質の暴露による腫瘍形成能の獲得で解析するin vitro評価系を構築する。 2.ヌードマウスでの皮下腫瘍形成能を推定可能なin vitroマーカーの開発:in vitroマーカーとしてspheroid形成能に着目し、遺伝的再構成を行った肺3D培養細胞での、spheroid形成能と皮下腫瘍形成能の相関関係を検討する。また、化学物質の肺発がん性のin vitro評価系でのin vitroマーカーとしての応用も検討する。 3.他の組み合わせでの遺伝的再構成による発がんの解析:Kras変異マウス由来の正常3D肺細胞を用いた、Kras変異を基盤と発がんにおいて、shGeneA以外の発がん促進作用のあるshRNAを検討する。また、B6マウス由来肺細胞を用いたKras変異以外の遺伝子を基盤とする発がんについても検討する。 4.In vitro肺発がんモデルを用いた肺発がんの分子機構の解明:肺がん関連遺伝子候補の肺発がんへの影響を解析する。ヒト肺がんに関連する候補遺伝子に関して、in vitro肺発がんモデルで遺伝的再構成を行い、肺発がんへの影響を検討する。
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Remarks |
臓器として「呼吸器悪性腫瘍」を掲載し、肺に関しても研究していることを記載しています。
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