2015 Fiscal Year Research-status Report
高栄養摂取による肥満環境がDNAメチル化などのエピゲノム変動にもたらす影響の解析
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26430139
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
藤井 元 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (90321877)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子環境相互作用 / 肥満 / DNAメチル化 / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは遺伝子の病気であると共に、環境からの強い影響をうけて起こる疾患である。近年メタボリック症候群に代表されるような肥満状態は穏やかな慢性炎症というべき環境を形成しており、そこからがんが発生してくる機序が注目されている。 慢性炎症状態が惹起する細胞活性化状態だけでは、がん発生の必要条件となる遺伝子の変異頻度はかなり低いと従来考えられてきたが、最近のエピゲノミクス研究では環境変化に応じてDNAメチル化やヒストンの修飾が有意な頻度で起こりうる可能性が示されている。 そこで当研究計画では高栄養摂取により肥満状態にしたマウスや、高栄養培地での培養を行った培養細胞で、DNAメチル化やヒストン修飾といったエピゲノム変化が発がん過程を説明しうる様な頻度で起こりうるのか、を直接的/実験的に検証することを研究の具体的目的としている。 本年度では主に糖質(主としてグルコースを利用)と脂質に関して栄養濃度の異なる様々な培地で、大腸がん由来の培養細胞や初代培養細胞に比較的近いと考えられる培養細胞などを長期間培養した試料を経時的に採取/保存した。その各標品における全体的DNAメチル化レベルを測定し、栄養条件によってDNAメチル化状態に変化が起きること、そしてその変化パターンが栄養素によって異なることを見出した。 また並行して栄養状態が異なる給餌条件下でマウスを長期飼育し、個体レベルでの栄養状態とエピゲノム変化の相関を解析できる実験を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当研究計画通り、栄養条件の異なる培地で培養を行った培養細胞で、DNAメチル化変化が発がん過程を説明しうる様な頻度で起こりうるのか、の検証から開始している。糖質(主としてグルコースを利用)や脂質といった栄養素成分濃度が異なる種々の培地で、大腸がん由来の培養細胞や初代培養細胞に比較的近いと考えられる培養細胞などの長期間培養を行い、その全体的DNAメチル化レベルに関して経時的に変化を測定した。その過程でH26年度には対照標品である低栄養状態培養条件下での培養において細胞が上手く増殖を行えない、といったトラブルがあったものの、最終的には細胞が無事増殖できる各種培養栄養最低条件の決定を行え、その培地を改変した高栄養条件培地での培養下ではDNAメチル化が漸次低減すること、そしてその低減パターンは栄養素の種類によって異なることを見出した。 栄養条件の異なった細胞に対してはDNAメチル化状態誘引の引き金になりうるヒストン修飾といったクロマチンレベルでの定量的エピゲノム変化測定(細胞標品蛋白試料ウェスタンブロッティングからの該当ヒストン蛋白種の定量、免疫沈降産物の定量、もしくはクロマチン沈降を用いたDNAからの間接定量)も予定していたが、鍵となるアミノ酸残基修飾特異的なヒストン抗体が海外輸入品で欠品しており、そのため本国での再生産と輸入を待機せざるを得なかった。修飾特異的ヒストン抗体も、ようやくH27年度後半に輸入され入手出来たので、予定に比べ遅れてしまっているクロマチンレベルでのエピゲノム解析を優先した行うことを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後まずは栄養条件の異なった細胞に対してDNAメチル化状態誘引の引き金になりうるヒストン修飾の定量的測定(細胞標品蛋白試料ウェスタンブロッティングからの該当ヒストン蛋白種の定量、免疫沈降産物の定量、もしくはクロマチン沈降を用いたDNAからの間接定量)を行うことを予定している。遅れていたアミノ酸残基修飾特異的ヒストン抗体抗体の再生産と輸入、入手がH27年度後半にようやく出来たので、この解析を優先的に行いたい。 さらに細胞レベルに加えて、個体レベルでの検証を現在施行中である。これは栄養状態が異なる給餌条件下でマウスを長期飼育し、個体レベルでの栄養状態とエピゲノム変化の相関の解析を目指した実験プランであり、本年度における研究での中心課題と考えている。具体的には標準的マウス(B6やBulb)に加え、肥満マウス(KKマウスやKK-Ayマウス)を利用して、普通食、もしくは高栄養食(高脂肪食)を給餌し、その後経時的に屠殺、高栄養の影響が大きそうな臓器や肥満関連がんの標的臓器となっている各種の臓器や対象となりそうな臓器(肝臓/筋肉/消化管/乳腺/脳/生殖腺など)を摘出/冷凍保存後、DNAもしくは蛋白の粗精製を行う。各臓器からのサンプルにおいて、DNA修飾レベル・ヒストン修飾レベルの定量解析を行い、修飾レベルの変動を栄養状態と相関させて精度良く測定することを予定している。 ここまでの細胞レベル/個体レベルのエピゲノム変化に関する実験的な解析に加え、1)運動介試験サンプルでのエピゲノム変動、2)個別の遺伝子座におけるエピゲノム変動の解析、を行う事も予定している。運動介試験サンプルでのエピゲノム変動解析は運動&食事介入を行ったヒトでのサンプルが必須であるため、この為の準備は測定までは難しくても遅滞せず進めておきたいと思っている。
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Causes of Carryover |
当研究計画ではまず高栄養培地での培養を行った培養細胞で、DNAメチル化発がん過程を説明しうる様な頻度で起こりうるのか、を解析し、続いてヒストン修飾といったクロマチンレベルでのエピゲノム解析を行う予定でいた。ところがこの解析で鍵となるアミノ酸残基修飾特異的なヒストン抗体が海外輸入品であったため、当該年度前半では欠品しており、そのため本国での再生産と輸入を待機せざるを得なかった。修飾特異的ヒストン抗体も、ようやくH27年度後半に輸入され、最終的に入手は出来たのだが、予定に比べて計画の遂行が遅れてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度はまず栄養条件の異なった細胞に対してDNAメチル化状態誘引の引き金になりうるヒストン修飾の定量的測定(細胞標品蛋白試料ウェスタンブロッティングからの該当ヒストン蛋白種の定量、免疫沈降産物の定量、もしくはクロマチン沈降を用いたDNAからの間接定量)を行うことを予定している。遅れていたアミノ酸残基修飾特異的ヒストン抗体抗体の再生産と輸入、入手がH27年度後半にようやく出来たので、この解析を優先的に行いたい。 さらに次年度では当該年度の残予算を用いて、細胞レベルに加えて、個体レベルでのDNA修飾レベル・ヒストン修飾レベルの定量解析を行い、修飾レベルの変動を精度良く測定することを予定している。培養細胞系の実験とは全く独立して行う実験である為、動物飼育や給餌の費用に研究予算を有効利用する予定でいる。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Irsogladine maleate, a gastric mucosal protectant, suppresses intestinal polyp development in Apc-mutant mice2016
Author(s)
Onuma W, Tomono S, Shinngo M, Fujii G, Hamoya T, Fujimoto K, Miyoshi N, Fukai F, Wakabayashi K, Mutoh M.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 7
Pages: 8640-52
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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