2015 Fiscal Year Research-status Report
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26430151
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
宮本 泰豪 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (90322742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌 / 糖鎖 / 腫瘍マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、がん患者血清中、健常人血清中のO型糖鎖のプロファイリングを作成し、HPLC上のピークをがん患者、健常者間で比較して、糖鎖腫瘍マーカー候補の探索を行ってきた。その結果、3種類の糖鎖腫瘍マーカー候補が検出された。これらの詳細な構造解析は終了している。ただし、この方法はマーカー候補の検出には非常に有効であるが、マーカー候補を正確に定量するには、感度、精度が低い。そのため、多検体を用いた今後のverification studyには適さない。そこで、今年度は、マーカー候補を高精度、高感度に定量する方法、質量分析法のSelected Reaction Monitoring法(SRM法)で、特に安定同位体標識した内部標準を用いる方法の確立を目指した。具体的な方法を以下に示す。安定同位体標識した内部標準は、マーカー候補を6個の重水素(2H)が付加されたaminopyridine (d6-AP)で標識することにより、通常のAPで標識された糖鎖に比べて、質量が4増加する。このd4-PA標識された内部標準を血清から作成されたPA化糖鎖mixtureに10fmol加える。これを最初に順相のカラムにて分離して、targetと内部標準が溶出される分画を分取する。次にこのフラクションをC18の逆相カラムで分離し、d4-PAとd0-PAがともに溶出される分画を分取した。この二つのHPLCでの分離により、質量分析法でイオン化の障害となる(ion suppression)大多数のPA化糖鎖を除去することでき、ほぼtarget糖鎖と内部標準のみとなる。これをSRM法に供した。質量分析計は3連四重極型、4500QTrapを用いた。定量性の指標となるcalibration curveを作成した。その結果、この方法では、PA化糖鎖0.5fmol-1000fmolの範囲で直線性を示した。また定量限界は0.5fmolであり、候補糖鎖の定量には、十分適応できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施計画は、昨年度までに検出された糖鎖腫瘍マーカー候補をverification studyするための高精度、高感度の定量法を確立することであった。これを遂行するため、質量分析法、SRM法(Selected reaction monitoring)を用いた、血中微量糖鎖の定量法の確立に取り組んだ。特に、精度をあげるために、安定同位体標識した内部標準を用いた定量法を確立できた。この方法では、現時点で見出されたマーカー候補糖鎖の測定には十分適応できるものであり、ほぼ計画通りに実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍マーカー候補の検出、それらの高精度、高感度の定量法を確立した、今後は多検体を用いたverification studyを行う必要がある。すでに膵臓癌65名、胃癌146名、大腸癌101名、食道癌74名、健常者194名分の血清を収集しており、これらの血清を用いて、verification studyを行い、マーカー候補の臨床応用の有用性を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は、質量分析法を用いた微量糖鎖の定量法の確立が主な研究テーマであり、消耗品の支出が主であった。今年度の研究費はおおむね使用したが、若干の未使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は最終年にあたり、消耗品の支出のほかに、研究成果の論文発表や学会発表にかかる費用などの目的に使用する計画である。
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[Journal Article] Elevation of CA19-9-Related Novel Marker, Core 1 Sialyl Lewis A, in Sera of Adenocarcinoma Patients Verified by a SRM-Based Method.2016
Author(s)
Tanaka-Okamoto, M.; Yabu, M.; Mukai, M.; Takahashi, H.; Fujiwara, Y.; Ohue, M.; Kamada, Y.; Miyoshi, E.; Miyamoto, Y.
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Journal Title
J Proteome Res
Volume: 15
Pages: 152-65
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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