2014 Fiscal Year Research-status Report
脂質ラフトをターゲットとした腎癌に対する新規分子標的治療の構築
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26430153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川崎 芳英 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80722256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (70282134)
伊藤 明宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344661)
三塚 浩二 東北大学, 大学病院, 助教 (80568171)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 糖鎖 / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞に発現する糖鎖は、細胞間相互認識・接着・運動など多岐にわたって重要な役割を担っており、癌細胞の増殖・浸潤・転移のプロセスにおいて、Key moleculeとして果たす糖鎖の役割に着目して研究を進めてきた。申請者らの行ってきた泌尿器癌での糖鎖抗原の研究から、腎癌においてGM3よりも長鎖のガングリオシドの発現増加が転移と関連があるというデータを得ていくつかのガングリオシドを同定し、これまで報告してきた(Saito S. J Biol Chem. 1994, Ito A. J Biol Chem. 2001)。DSGb5糖鎖も新規構造物として報告した糖鎖の一つであり、この糖鎖に対するモノクローナル抗体を作成して、腎癌組織免疫染色を行った結果、腎癌の転移との関連を示唆するデータが得れ (Ito A. Glycoconjugate J. 2001)、本研究もこの糖鎖研究を踏襲している 。 また、これまでの研究にて、DSGb5糖鎖Knock down細胞が作成可能となり、これを用いることで、DSGb5糖鎖の機能的役割を解析することが可能となっている。その結果、細胞表面上のDSGb5糖鎖がnatural killer(NK)細胞上の糖鎖認識蛋白(Siglec7)と作用して、NK細胞の障害活性を抑制しているという知見が得られている(Kawasaki Y, Ito A. Glycobiology. 2010)。 昨年度は、上記研究データを踏まえ、腎腫瘍を主とし、前立腺腫瘍および副腎腫瘍についても学会および論文発表をしてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖鎖は、糖鎖を付加する酵素によって伸長・合成されており、申請者らは、DSGb5糖鎖合成酵素遺伝子(ST6GalNAcVI)を同定された (Senda M, Ito A. Biochem J.2007)。このST6GalNAcVIに対するsiRNA を腎癌細胞に導入することで、DSGb5糖鎖Knock down細胞が作成することができた。 Knock down細胞とコントロール(mock)細胞とを比較検討したところ、DSGb5糖鎖発現によって、細胞運動と細胞増殖が亢進していることが判明し、今年度はこの研究結果をもとに、論文発表ができる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的で示した仮定を明らかにすることで、さらに研究を発展させる予定である。また、データ集めのため、昨年はできなかった学会報告や論文発表についても、行うことになっている。さらに、昨年の予算で購入した実験機器を使用し、データを蓄積していきたい。 腎癌をおもな研究対象としていたが、その他の泌尿生殖器癌に対象を広げた研究ができないかどうかを探求することを予定している。 なお、大学院研究員の指導も行っていくことも想定しており、そのために、予算を有効に使用できるように、計画を練っていきたい。
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Causes of Carryover |
直接経費は計画的に慎重に使用しており、初年度は特に、慎重になったために次年度経費が発生した理由の一因になったものと推測する。昨年度は次年度の学会および論文発表のための、データを集積する期間であった。そのため、学会報告等も少なく、予想より出費が少なかったようである。また、その他の経費は事実上予備費として想定しおり、今回、この予算を今年度にすべて繰り越したことで、次年度使用金額が発生したものと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、データ解析や学会報告のため、当初の予定通り、出費が増加するものと予想される。よって、昨年度から今年度に繰り越された経費が有効に活用できるものと考えられる。さらに、研究員の確保や指導のために、計画的に予算を活用する予定である。
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Research Products
(6 results)