2015 Fiscal Year Research-status Report
脂質ラフトをターゲットとした腎癌に対する新規分子標的治療の構築
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26430153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川崎 芳英 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80722256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70282134)
伊藤 明宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344661)
三塚 浩二 東北大学, 大学病院, 講師 (80568171)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DSGb5 / 腎癌 / 糖脂質 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの泌尿器癌の糖鎖研究から、腎癌細胞の増殖、浸潤および転移の過程において、糖鎖の果たす役割に注目してきた。そして、腎癌の免疫組織学的研究から、転移との関連を示唆する糖鎖の存在を報告しており、その一つが、本研究のkey moleculeである、DSGb5糖鎖である。また、DSGb5糖鎖は腎癌細胞の細胞表面に単独で存在するわけではなく、脂質や種々の受容体などと共存しており、この状況は細胞表面に浮かぶ「いかだ」にたとえられ、リピッドラフト(lipid raft)と呼ばれている。本研究は、このリピッドラフトをターゲットに新たな進行性腎癌の治療を構築することを最終的な目的として行っている。その前段階として、DSGb5糖鎖の発現と腎癌細胞のふるまいについて、申請した研究計画に沿って検証し、その結果を論文報告した(Kawasaki Y. Tohoku journal of experimental medicine。2015)。この論文報告では、DSGb5糖鎖の発現量の違いが腎癌細胞の運動能に影響をを与えることが明らかになった。DSGb5の発現量が多い腎癌細胞の運動が亢進しており、DSGb5糖鎖は癌浸潤に有利な状況をもたらしていることが示唆された。さらに、DSGb5糖鎖の発現に関わる糖転移酵素をノックダウンし、DSGb5糖鎖の発現を抑制することで腎が細胞の運動能が低下することが確認できた。すなわち、DSGb5糖鎖は腎癌細胞の新たな治療のターゲット分子であることが示唆され、DSGb5糖鎖より構成されるリピッドラフトの制御は、これまでにはない機序による腎癌治療になるものと期待できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎癌細胞において、DSGb5糖鎖の発現と細胞運動能および細胞増殖能について調査し、運動能に関係あることを証明した。また、DSGb5糖鎖の高発現細胞と低発現細胞の比較において、DSGb5糖鎖の合成にかかわるmRNAやタンパクの発現には有意な差が存在しないことも確認した。この内容に関して、上記に述べた通り論文発表した。 また、DSGb5糖鎖合成酵素のノックダウンにより、腎癌細胞の運動能を低減させることを明らかにした。このことから、腎癌細胞は何らかの機序で、DSGb5糖鎖の発現を増加させ、より高悪性度なることが示唆され、DSGb5糖鎖およびリピッドラフトをターゲットした新規治療の可能性があることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、リピッドラフトの構成成分であるDSGb5糖鎖、Glut-1に対するモノクローナル抗体を確立し、vitroでの腎癌細胞における抗腫瘍効果の検証を予定している。 vitroでの実験結果をもとに、動物モデルを使用した実験系を予定している。ヌードマウスにDSGb5糖鎖高発現細胞と低発現細胞を移植し比較する。in vivoにおいてDSGb5の発現がどのように影響するかを確認、vitroと同様のふるまいを示すのであれば、vitroで用いた抗体の抗腫瘍効果を検討する実験を予定している。
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Causes of Carryover |
直接経費は慎重かつ計画的に使用しており、無駄な支出の抑制に努めていました。学会報告等に関わる旅費が多くなりましたが、支出に慎重になったために、年次経費を下回ったものと推測している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、さらにデータ解析や学会等での報告を予定しており、残された助成金を有効に活用できるものと見込んでいる。
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Research Products
(1 results)