2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new molecular targeted therapy focused on lipid rafts for renal cell carcinoma
Project/Area Number |
26430153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川崎 芳英 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80722256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70282134)
伊藤 明宏 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70344661)
三塚 浩二 東北大学, 大学病院, 講師 (80568171)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DSGb5 / 腎癌 / 糖脂質 / 糖鎖 / lipid raft |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、腎癌細胞の増殖、浸潤および転移の過程において、糖鎖の果たす役割に着目してきた。腎癌の転移と関連が示唆される糖鎖が、本研究のkey moleculeであるDSGb5である。DSGb5糖鎖が細胞表面にリピッドラフト(lipid raft)を構成する重要なmoleculeであり、DSGb5糖鎖の発現と腎癌細胞のふるまいについて検証してきた。 昨年度、論文報告をし(Kawasaki Y. Tohoku Journal of Experimental Medicine 2015)、この論文の結果に基づき、今年度はさらに検証のため臨床検体を用いた研究をおこなった。パラフィンブロックにおけるDSGb5による免疫染色を確立し、対象症例の免染染色において、DSGb5 高発現と低発現では、組織型・腫瘍径・pT stage・Gradeなどに差がないことを確認した。しかし、DSGb5高発現症例で有意に血管侵襲を多く認めた。術後平均観察期間51か月において、対象症例のうち18 例(12%) に転移を認めた。転移発現までの中央値は、DSGb5低発現症例で51ヶ月であったが、高発現症例で38ヶ月と早期に転移を認めた。5年無増悪生存率はDSGb5低発現症例で89%、高発現症例で73%であり、高発現症例で予後不良であることが明らかになった。この結果を論文報告した(Itoh J. Glycoconj J. 2017) 。基礎実験と臨床検体を用いた研究より、DSGb5糖鎖を含むリピッドラフトが新規治療のターゲットなりることを明らかとした。
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