2014 Fiscal Year Research-status Report
膜輸送系を標的とする光線力学的治療の効果増強剤の新薬シーズ開発
Project/Area Number |
26430160
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
遠藤 良夫 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (30211783)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光線力学的療法 / 5-アミノレブリン酸 / 効果増強 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
5-アミノレブリン酸(以下ALA)は従来の光線力学的治療(PDT)で用いられるポルフィリン関連化合物とは異なり、がん細胞内でヘム生合成系酵素群によりプロトポルフィリン(PpIX) に代謝されて光感受性物質として活性化され、殺細胞効果を発揮する。最近、申請者らはALAとの同時処理により細胞内PpIX量を増加させてPDT効果を増強する低分子化合物TX-816を見出した。本研究では、TX-816をリード化合物とし、多様ながん腫の診断や治療に広く応用可能なALA-PDT効果増強剤の新薬シーズを開発することを目的とする。 誘導体展開のための基礎研究として、TX-816の分解産物で、効果増強の活性本体であるDCSAの類縁化合物として、ジクロロベンズアルデヒド、クロロサリチルアルデヒドなどのベンズアルデヒド類や、ジクロロサリチル酸、クロロヒドロキシベンズアミドなど、アルデヒド基がカルボキシル基やアミド基に置換された化合物を用いて効果増強における構造活性相関を検討したところ、アルデヒド基を有するものに増強作用が認められた。一方、アルデヒド基がカルボキシル基、アミド基に置換されたでは活性がないことからアルデヒド基がALA-PDTの効果増強発現に重要であることが明らかになってきた。これらの知見を基に、今年度はベンジルオキシベンズアルデヒドやメトキシベンズアルデヒド、分解によりベンズアルデヒドを生成するシッフ塩基など、7つの化合物のALA-PDT効果増強作用を検討した。その結果、TX-816やDCSAに匹敵する増強作用を有するシッフ塩基(HMB)を新たに見出すことができた。このHMBはDCSAと同様にMKN-45のALA-PDT獲得耐性株のPDT感受性を回復させることも確認できた。興味深いことにHMBはTX-816よりも安定性が高いと考えられ、より有用なリード化合物となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、TX-816に匹敵する効果増強作用を有する新たなシッフ化合物を見出すことができた。この化合物はTX-816よりも安定に細胞内に取り込まれることが期待され、有望なリード化合物となる可能性がある。また、TX-816のシッフ塩基の窒素原子を炭素原子に変えて切断しない化合物としては、スチルベン誘導体であるレスベラトロールの効果増強作用の評価を行い活性がないことを確認した。スチルベン誘導体の効果増強作用に関しては今後さらに検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で見出したシッフ塩基、HMBの溶液中での安定性および細胞内PpIXの蓄積に対する影響を詳細に検討するとともに、誘導体の分子設計および活性評価を実施する。
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Research Products
(2 results)