2014 Fiscal Year Research-status Report
HER2陽性乳癌、胃癌におけるheregulinによる抗HER2薬の効果予測
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26430174
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
鶴谷 純司 近畿大学, 医学部, 准教授 (30319686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和彦 近畿大学, 医学部, 教授 (40298964)
米阪 仁雄 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (30330260)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子標的治療 / 西日本がん研究機構 / WJOG7212G / cfDNA BC / N87 / SKBR-3 / 血漿検体 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌治療のテーラーメイド化を推進するために、治療効果を予測するバイオマーカーの同定は重要である。HER2陽性乳癌、胃癌患者の血漿や組織におけるheregulinの発現と抗HER2薬に対する感受性との関連を調べ、そのバイオマーカーとしての意義を検討する。 1)HER2陽性の乳癌、胃癌細胞におけるheregulin高発現の機能解析:HER2陽性胃癌、乳癌細胞株を用いて、heregulingの強制発現株を作成。コントロールとしてempty vectorを用いたmoch株を同時に作成。これらの細胞にて細胞増殖能、抗HER2薬を含む薬剤によるアポトーシス誘導能の変化などを調査。 2)heregulinによる抗HER2薬耐性の機序の解明:HER2発現胃癌、乳癌細胞株にheregulinを付加することで、抗HER2薬による細胞増殖抑制能やアポトーシス誘導能に変化があるかを調べ、また、hergegulin強制発現株においても同様に調べる。さらに、HER2発現胃癌、乳癌細胞株にheregulinを付加することで、ウェスタンブロットでHER2-HER3を含む下流シグナルの活性化や発現の変化を調べる。同様にhereguling強制発現株を用いて調べる。 3)HER2陽性乳癌、胃癌患者の血漿や癌組織のheregulin発現量と予後、trastuzumab、pertuzumabなど抗HER2薬の効果との関連を調査:当院で治療中の乳癌患者を対象にtrastuzumab、pertuzumabおよびT-DM1を使用した患者の治療前後における癌組織や血漿を採取する臨床試験を計画、立案、IRBに申請し、承認の後に実施する。これらの検体と、西日本がん研究機構で行われた進行胃癌患者に対するS-1とtrastuzumabを併用する第二相試験で収集された血漿を用いてheregulingの発現と臨床的治療成績の相関を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HER2陽性胃癌患者と同乳癌患者の血漿検体の収集と、細胞株を用いた基礎研究は順調に進んでいる。 1)HER2遺伝子増幅を有する胃癌細胞株であるN87と同乳癌細胞株のSKBR-3に、heregulinのトランスフェクションを行い安定発現株の樹立を行った。ELISAとwestern blottingを用いてheregulinの発現増加を確認している。抗HER2薬であるラパチニブやT-DM1の感受性を調べるため細胞増殖アッセイを行った。moch発現株と比べ、heregulin発現株では10倍以上のIC50値上昇を認めている。 2)現在のところN87,SKBR-3株におけるheregulin強制発現株のAktやMAPKなど下流シグナルの活性化を認めておらず、抗HER2薬への耐性化メカニズムは解明されていない。今後の課題とし、in vivoも含め解明を進めてゆく。 3)平成26年度には根治不能なHER2陽性胃癌患者の初回治療におけるトラスツズマブ、シスプラチン、ティーエスワン併用療法の効果を検討した第2相試験(西日本がん研究機構試験、プロトコールナンバー:WJOG7212G)に登録された55症例の治療前血漿の採取、保存が完了した。今後、近畿大学医学部腫瘍内科において、この血漿を用いheregulin濃度の測定を行ってゆく予定である。また、近畿大学医学部腫瘍内科においてHER2陽性乳癌患者で抗HER2薬を含む化学療法を実施している50症例の治療開始前後の血漿検体収集と保存を完了した(cfDNA BC研究)。平成28年度にはこれらの血漿を用いてheregulin濃度を測定してゆく予定である。現在、治療継続中の患者も含まれており、臨床情報などの収集を今後行ってゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
2)引き続き、N87,SKBR-3株におけるheregulin強制発現株を用いて、抗HER2薬への耐性化メカニズム解明をin vivoも含め進めてゆく。 3)平成27年度にWJOG7212Gに登録されたHER2陽性胃癌患者の血漿におけるheregulinの測定を予定している。抗HER2薬を含む抗癌剤の効果と血漿heregulin濃度との関連を統計学的に調べる予定である。また、近畿大学医学部で行っているcfDNA BC試験で収集されたHER2陽性乳癌患者の血漿中heregulinの濃度測定を平成28年度に予定している。抗HER2薬を含む抗癌剤の効果と血漿heregulin濃度との関連を統計学的に調べる予定である。
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