2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26430187
|
Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
川野 光興 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (00455338)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | マイクロRNA / RNA編集 / 機能性RNA / 次世代シーケンシング解析 / 生命情報科学 / LNAオリゴ / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
miRNA前駆体の網羅的な塩基配列解析に関する研究は、miRNA前駆体から成熟miRNAへの発現制御機構を理解するために重要な知見を与えてくれるのにも関わらず、その技術的困難さから現在までほとんど報告がない。本研究では、次世代シーケンサーを用いて、miRNAの前駆体であるpre-miRNAを効率よく網羅的に塩基配列決定するための技術を活用し、RNA編集活性が高いことが知られているヒト脳細胞におけるpre-miRNA中に生じるRNA編集部位の同定を行うことを目指している。 ① 高出現RNAと相補的なLNA/DNAオリゴの設計・合成 購入したヒト脳細胞(胎児、成人、老人を各一人ずつ)の全RNAサンプルを用いて約50から90塩基RNAの次世代シーケンス配列解析を行った。この結果を基に、出現頻度ランクtop100リストを作成し、出現頻度の高いrRNA断片やsnoRNAに特異的に結合するLNA/DNAオリゴを設計した。 ② 小分子 RNA (cDNA) ライブラリーの作製およびライブラリー作製プロトコールの改善 新規に設計・合成したLNA/DNAオリゴを用いて、各ヒト脳細胞の全RNAサンプル由来のcDNAライブラリーの作製を行った。この際、効率良くライブラリー作製が行えるようにプロトコールの改善を行った。 ③ 生命情報科学的シーケンスデータ解析およびRNA編集を受けている(pre-)miRNAの解析 一連の次世代シーケンスデータ解析を研究協力者と共同で行った。以前にHeLa細胞を用いて行ったpre-miRNA解析では発見することができなかったA-to-I RNA編集部位の候補を複数同定することができた。候補部位が転写後に編集されていることを確かめるために、ライブラリー作製に用いた同じ細胞・組織サンプルから回収したゲノムDNAを用いて塩基配列を決定してRNA編集を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト脳サンプルを用いたpre-miRNAの次世代シーケンシング解析によって得られたデーターを使用して生命情報学的解析を行った結果、新規にデザインしたDNA/LNAオリゴを用いることによりsnoRNAの割合を大幅に減らすことができた。これにより予想通りpre-miRNAの総数を増やすことができ、その中に含まれるpre-miRNA上に生じたRNA編集部位を生命情報学的な解析により複数箇所発見することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンス解析によって得られたヒト脳サンプルRNA塩基配列データは、生命情報科学解析の専門家と共に引き続き解析を行う。新規の小分子RNAやマイクロRNA上での編集部位を見つけることができれば、実験によって検証を行う。また、この研究を発展させるために次世代シーケンス解析やRNA編集解析分野の研究者と交流を深め、共同研究に発展させていきたい。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたよりも効率良く実験を行うことができたために研究試薬およびオリゴ合成にかかる費用が低くなった。また、ヒト脳細胞サンプルを用いた初期解析において、申請者が既に得ているデーターを用いて生命情報学的解析を行うことができために塩基配列決定にかかる費用も使用予定額より少なくなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
初期解析の結果を基に必要があれば新たなサンプルを用いてさらに次世代シーケンシングを行う。また、解析結果を実験的に検証する為に必要な機器を購入する予定である。
|