2014 Fiscal Year Research-status Report
頭蓋骨早期癒合疾患の次世代遺伝子一括診断システムの確立と治療標的分子の探索
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26430194
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
要 匡 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264288)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ターゲットリシーケンス / 頭蓋骨早期癒合 / 全エクソーム解析 / 遺伝子パネル |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は次世代ターゲットリシーケンス解析、未同定疾患ホールエクソーム解析について以下を行った。 1)頭蓋骨早期癒合症に関する次世代ターゲットリシーケンス解析系の構築と解析 オンラインメンデル遺伝カタログ(OMIM)に登録されている、頭蓋骨早期癒合等の症状をきたす37疾患の原因遺伝子28種、および、申請者らが同定したOpitz trigonoceohaly C症候群の原因遺伝子CD96、類縁疾患のBohring-Opitz症候群の原因遺伝子ASXL1に関連すると思われる遺伝子を含む、領域濃縮用のパネルを作製した。作製は、HaloPlex(Agilnet社)を基本とし、トライアルによるターゲットリシーケンスにより濃縮(カバー)の低いと判定された領域、プロモーター側の領域についてPCRベースの追加を行い、最終的な遺伝子パネルとした。本遺伝子パネルを用いて、頭蓋骨早期癒合をきたす患児について、実際に遺伝子解析を施行し、FGFR2, FGFR3の遺伝子変異(それぞれp.S252W, p.P250Rなど)を同定した。遺伝子変異は、Sangerシーケンスにても確認し、検証された。本遺伝子パネルは、他の遺伝子変異の有無も同時に確認できることより、他の遺伝子変異の影響も同時に確認できるため、より正確な診断、および遺伝子変異―症状関連の解析に有用であると思われた。 2)未同定疾患患児のホールエクソーム解析 三角頭蓋を呈する患児について、CD96遺伝子、ASXL1遺伝子、FGFR1遺伝子のいずれにも変異を認めない症例が確認された。そこで、本人および両親について、書面による同意の後、SeaCapEZ ver3 (Roche社)によるホールエクソームキャプチャーおよび次世代シーケンス解読(HiSeq2500)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定として、次世代ターゲットリシーケンス解析系の構築と解析の実践と既知の遺伝子変異が認められない原因が未知の疾患患児に対する原因解析を行うことであった。 H26年度は、実績に記載したように、1)次世代シーケンサを利用したターゲットリシーケンス解析系、いわゆる遺伝子濃縮パネルの作製については、頭蓋骨に症状をきたす疾患の、H26時点で同定されている全遺伝子を網羅した領域濃縮パネルを作製し、その有効性の検証や実践が開始され、FGFR2, FGFR3遺伝子変異を同定したこと、2)未同定疾患患児のホールエクソーム解析については、三角頭蓋を呈する原因不明の疾患患児について、ホールエクソームキャプチャーによる全エクソンを解読し、データ解析に入っていることより、H26の予定をほぼ施行できたと思われる。 よって、今年度の予定は概ね達成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、1)次世代シーケンサを利用したターゲットリシーケンス解析系、いわゆる遺伝子濃縮パネルの作製と実践に関して、解析症例数を増やし(20例以上)、本遺伝子濃縮パネルの効率、精度について検証を加え、また、遺伝子変異の傾向について探る。加えて、遺伝子変異と症状との関連についても検討する。 さらに、2)原因未同定疾患患児のホールエクソーム解析については、患児、両親の次世代データ解析により未知の新規原因遺伝子変異同定を目指す。 さらに、頭蓋骨早期癒合に関する重要なシグナル伝達経路をin vitroで明らかにして行くために、前年度より遺伝子解析を行っている患児について、同意の得られた患児から疾患モデル細胞(幹細胞)の樹立を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
H26年度に頭蓋骨早期癒合症に関する次世代ターゲットリシーケンス解析系を構築し、解析を開始し、次年度へ向け、解析数を増やす予定であったが、申請者の異動が決まり、異動に伴う解析精度不十分なデータ取得や解析途中でのデータ喪失を避け、次年度へのスムーズな研究の継続のため、当初の予定に大幅に遅れることなく、検体の準備のみ行い、次世代シーケンサでの解析を一時中止したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は、異動後に速やかに、研究開始となるようセットアップを終了し、H26年度に準備済みの検体を、H27年度に速やかに解析する。また、当初のH27年度の計画も開始することで、滞りのない研究の施行、継続を予定している。
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