2015 Fiscal Year Research-status Report
フリーズドライ(凍結乾燥)技術を用いた希少動物精子バンクの構築
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26430204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 武人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30332878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フリーズドライ / 凍結乾燥 / 配偶子保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フリーズドライ(凍結乾燥)技術を用いて希少動物の精子を保存し、種の保存に向けた新規かつ安全な精子バンクの構築を目指すものである。研究代表者は、冷蔵庫(4℃)で長期保存が可能なフリーズドライ精子保存法の開発に成功しており、同一条件で異なる動物種の精子が保存できることを明らかにしている。本研究では、研究代表者の開発したフリーズドライ精子保存法を用いて野生動物精子のフリーズドライ後の受精能力を評価することで、フリーズドライ精子保存法の汎用性について検討した。国内外の研究機関・動物園等と連携してムフロン、シロオリックス等のウシ科動物の精巣組織を提供いただき、精巣上体尾部精子を回収した。精子は、トリス-EDTA保存液に懸濁し、フリーズドライした後、冷蔵庫で一定期間保存した。その後、純水を用いて復水した精子は、マウスの卵子内に顕微授精法を用いて導入した。精子導入後の卵子は、体外培養し前核の出現を確認することで、精子受精能の評価を行った。その結果、本研究に用いた全ての動物種において、復水後のフリーズドライ精子は正常な形態を示していた。さらに、これら精子をマウス卵子に導入した結果、異常受精は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果より、野生のウシ科動物から採取した精子においてもフリーズドライ後も正常な受精能を保持していることを確認することができた。このことから、達成度は「おおむね順調に進展している」と評価できる。希少動物精子のフリーズドライ保存についての報告数は少なく、本研究で検討する動物種を増やし比較検討ができたことは極めて大きな成果である。多くの動物種の精子でフリーズドライ後の正常な受精能を確認することができたため、代表者の開発した保存法は希少動物精子の保存に適用できる可能性が極めて高い。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、動物種を増やして精子を採取し、フリーズドライ保存および受精能評価をすることできた。次年度も引き続き、国内外の研究機関・動物園等と連携し、精巣組織を提供いただき順次フリーズドライ保存および受精能の評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
本研究で用いている研究用試料の精巣組織は、連携している研究機関や動物園から提供されるものであり、その量、頻度については一定ではないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
連携している研究機関や動物園からサンプル収集を積極的に行うことで、実施回数を増やし研究成果の充実を図る。
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