2016 Fiscal Year Research-status Report
野外コウノトリの生理学的および病理学的モニタリング手法の開発
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26430206
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内藤 和明 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (50326295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 保男 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (10244691)
大迫 義人 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 准教授 (40326294)
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00339285)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保全生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
飼育下の3個体を対象に行った二重標識水によるコウノトリのエネルギー消費量の推定結果の解析を進めた.one-poolモデルとtwo-poolモデルの推定値を比較すると,one-poolモデルによる値の方が7.4%高く,必要な餌量を余裕を見込んで推定するためにはone-poolモデルを用いる方がよいと思われた.エネルギー消費量の推定値は給餌量から計算されたエネルギー量の51.9~62.8%に相当した.これらの結果を論文化した. 野外コウノトリの体重測定方法の開発のため水田畦畔に体重計を設置し,個体がその上に乗るかどうかの検証を実施中である.また,捕獲方法の開発のためフィルムミラーを設置し誘引効果があるかどうかの検証を実施中である. コウノトリの糞便および各種環境試料(土壌試料,環境水,動物糞)からβ-ラクタマーゼ産生遺伝子を検出した.コウノトリの糞便22検体,コウノトリ生息地周辺11箇所で採取した環境試料20検体を供試した.5種類のβ-ラクタマーゼ産生遺伝子型(TEM,SHV,CTX-M-1,CTX-M-2,CTX-M-9)を標的にしたPCR増幅を行った.コウノトリの糞便からTEM型1検体とCTX-M-9型1検体,土壌試料からTEM型2検体,環境水からTEM型1検体が検出された.本邦でTEM型が検出されるのは稀である.コウノトリと他の野生動物を含む生息環境そしてヒトとの相互関係の中で本種の健康維持を考える重要性が示唆された. 2017年秋以降に国内各地で高病原性鳥インフルエンザが発生したことに伴い,本研究課題で前年度にまとめた方針に基づいて,飼育下のコウノトリの防疫対策を実行した.具体的には,対策会議の設置,研修会の実施,池や湿地の水抜き,靴底消毒,開放型のケージからバックヤードへの飼育個体の収容,ケージ天井へのシートの設置や防鳥ネットの追加等である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年秋以降に国内各地で高病原性鳥インフルエンザが発生したことに伴い,飼育下のコウノトリの防疫対策が実施されたため,二重標識水によるコウノトリの代謝量の測定を行うことができなかった.また,野外コウノトリの体重測定方法の開発および捕獲方法の開発のための検証で十分なデータがまだ得られていない.
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Strategy for Future Research Activity |
二重標識水によるコウノトリの代謝量の測定を引き続き進める.前年度に実施できなかった,屋根のないケージで比較的自由に行動できる個体を対象にした代謝量の測定を試み,活動量が少ない個体での結果と比較する.また,野外コウノトリの体重測定方法の開発および捕獲方法の開発のための検証を引き続き進める.
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Causes of Carryover |
エネルギー代謝量の解明に関連して血液試料等の安定同位体分析および体重測定手法や捕獲手法の開発等を翌年度に延長して実施するため,これらにかかる費用等を翌年度に支出することとし,当初の予定と支出額との間に差が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
エネルギー代謝量の解明に関連して,二重標識水の投与液や血液試料の安定同位体分析にかかる費用等を支出する.また,体重測定手法や捕獲手法の開発等にかかる費用等を支出する.
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Research Products
(3 results)