2014 Fiscal Year Research-status Report
ベロ毒素により損傷したリボソームを認識するメカニズムの解析
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26440004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北畠 真 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (10321754)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リボソーム / 品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベロ毒素により損傷をうけるリボソーム60Sサブユニット中の塩基(SRLとよばれる位置にある)に対して、出芽酵母の25S rRNAをモデルとして塩基置換を導入し、実際にこの塩基に変化があった場合にリボソームの機能が完全に消失することをRNA polymerase Iの温度感受性変異株を用いた相補実験により示した。通常、リボソームRNAは非常に安定性が高く、4時間程度の転写シャットオフ試験においてはまったく分解が観察できないものであるが、この変異を持つ機能不全25S rRNAは半減期15分程度ですみやかに分解された。これは25S rRNA中の他の重要ドメインであるペプチジル基転移中心に損傷のある機能不全rRNAの場合よりも素早い分解であり、SRLの機能を失った変異25S rRNAは細胞の中でも特に効率よく認識され、分解される品質管理機構の基質であるということが明らかになった。 その後この変異25S rRNAを用いて出芽酵母の遺伝子破壊株コレクションをスクリーニングすることで、変異25S rRNAを認識し選択へと導く因子を複数同定することに成功している。現在はこの分解関連因子のホモログをヒトのゲノム中からクローニングを試みている。 本年度はこれらの結果について解析し、論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベロ毒素による損傷により機能を失ったリボソームに対する細胞の対処を理解するためには、機能不全リボソームの分解に関与する因子を詳細に調べることが有効である。本年度はこの点についてユビキチンリガーゼ複合体の新たな構成因子を発見した。予想外のことに、このユビキチンリガーゼはmRNAの転写をストレス環境下で制御する別な複合体と安定な結合を示していた。これらの成果から細胞がダメージを受けた際の応答機構が相互に複雑に干渉している姿を明らかにすることができ、ヒト培養細胞で行うべき実験の骨格を具体化することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトの細胞での試験を行うのが元来の目標であり、これは本年度の成果に基いて準備を進めていく。その一方で、出芽酵母を用いた解析でストレス応答経路の新たな全体像が明らかになりつつある。実験材料の豊富さから出芽酵母での解析は非常に効率的であるため、こちらの系を用いた解析も続けていく。
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Research Products
(2 results)