2014 Fiscal Year Research-status Report
生体内 PI3P 脱リン酸化酵素の同定および生理的意義の解明
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26440020
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
江口 賢史 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70457117)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォスファターゼ / リン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスファチジルイノシトール3リン酸(PI3P)はオートファジー、栄養シグナル伝達、小胞輸送などに関与する重要なイノシトールリン脂質分子種であり、個体での PI3P 産生酵素の欠損は自己免疫疾患、心肥大、先天性白内障など、多岐にわたる重篤な疾患を引き起こす。一方、PI3P 脱リン酸化 (分解) 酵素は試験管内の活性から11 種類も存在する事が予想されているが、個体における生理的意義はおろか、細胞内で実際に PI3P 脱リン酸化活性があるのかすらほとんど明らかになっていない。申請者は細胞内活性が不明な 10 種類の PI3P 分解酵素の遺伝子改変マウスを独自に樹立した。本研究では独自のツールを用いて、未だに不明なPI3P 分解酵素群の生理機能を探ることで各酵素の生理的意義及び PI3P の機能の多様性を明らかにする。初年度はイノシトールリン脂質動態の解析を進めるために、それぞれの脱リン酸化酵素の MEF の作製を進めており、概ね順調に出来ている。また質量分析計を用いたイノシトールリン脂質の絶対定量法の確立においては、PIP1,PIP2,PIP3 を細胞および組織レベルで解析する方法を確立した。しかしながら確立した方法では PIP1(PI3P,PI4P,PI5P)を区別して測定するまでには至っていない為、次年度以降の課題である。また、次年度から開始する予定であった数種類の遺伝子欠損マウスについては組織レベルの解析に着手した。一部のマウスでは心臓において心室壁の肥厚が認められており、経年変化とその原因について解析しているところである。本研究によって、PI3P 分解酵素が個体で果たす役割が明らかとなり、これまでに明らかになっていない細胞内機能への関わりなどの新たな発見へとつながることが期待され、得られる分子病態についての新たな知見は、医学的にも意義をもつものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたものの、まだ解析できていない実験がある一方、次年度に予定していたマウスの組織学的解析を前倒しで実施しており、全体を見れば概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実施が遅れている MEF を用いた解析は作製している MEF が揃い次第、順次進めていく。今後の研究推進は先行して進めている遺伝子欠損マウスの組織学的解析をさらに進めるとともに、研究計画書に従って解析していく。
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Research Products
(1 results)