2014 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌に特徴的なATP消費抑制型N-グリカン代謝経路の解明
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26440022
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
仁平 高則 新潟大学, 農学部, 研究員 (80615469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | N-グリカン / 酵素 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
N-グリカンに共通する構造(β-1,4-D-マンノシル-N-アセチル-D-グルコサミン)を加リン酸分解する新規酵素β-1,4-D-マンノシル-N-アセチル-D-グルコサミンホスホリラーゼの機能と構造の相関を明らかにするため,当該酵素のX線結晶構造解析を試みた。まずハンギングドロップ蒸気拡散法により結晶化条件のスクリーニングを行なった。酵素タンパク質の生産性および結晶化において困難な点が認められたため,当該酵素についての検討に加え他の細菌由来のβ-1,4-D-マンノシル-N-アセチル-D-グルコサミンホスホリラーゼホモログ遺伝子のクローニング・発現プラスミドの構築および酵素タンパク質の発現についても併せて行なうことで,結晶構造解析を行なう上での対策を講じた。 また,当該酵素の反応メカニズムの解析に必要なβ-1,4-D-マンノシル-N-アセチル-D-グルコサミンをマンノース1リン酸およびN-アセチル-D-グルコサミンを用いて,新規酵素の逆反応を利用して大量調製した。また,スクロースホスホリラーゼ,α-ホスホグルコムターゼ,グルコース6-リン酸イソメラーゼ,マンノース6-リン酸イソメラーゼ,ホスホマンノムターゼおよび当該新規酵素の6種の酵素を組み合わせることにより安価なスクロースおよびN-アセチル-D-グルコサミンからβ-1,4-D-マンノシル-N-アセチル-D-グルコサミンを大量調製した。反応生成糖は,各種カラムクロマトグラフィーおよび電気透析装置により精製し,当該新規ホスホリラーゼの解析に必要な基質を十分量得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該酵素の結晶構造解析については,大腸菌におけるリコンビナント酵素の生産性および結晶化において困難な点が認められ少々の遅れが生じているが,他生物由来の数種の酵素ホモログについて遺伝子クローニング,発現プラスミドの構築および酵素タンパク質の発現を行ない,より構造解析が進展しやすいよう速やかに対策を講じたことから,今後の研究進展が大いに期待できる。 また,当該酵素の反応メカニズムの解析に必要なβ-1,4-D-マンノシル-N-アセチル-D-グルコサミンの調製については,当該酵素の逆反応の利用および数種の酵素を組合わせたOne-pot酵素合成法を行なうことにより,大量に基質を調製することに成功しており,今後の研究進展が大いに期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該酵素およびホモログタンパク質の結晶構造解析を進めると共に,N-グリカン代謝関連加水分解酵素および糖結合タンパク質についてクローニング,タンパク質発現,性質決定に取り組む。
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