2014 Fiscal Year Research-status Report
膜小胞形成に関わる多量体膜タンパク質の構造解析と調節機構の解明
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26440034
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
横山 英志 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (70433208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 博 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40336590)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜結合プロテアーゼ / ストマチン / OBドメイン / X線結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、X線結晶構造解析により、膜小胞形成に関与し溶血性貧血(遺伝性有口赤血球症stomatocytosis)の原因タンパク質である多量体膜タンパク質ストマチンの全体構造解明とストマチンの機能制御パートナータンパク質STOPPによるストマチン制御機構の解明を目的とする。ストマチンの分子レベルでの構造と機能を明らかにすることで、未だ有効な治療薬のないstomatocytosisの治療薬を新規に開発するための構造基盤が得られる。 今年度は、STOPPによるストマチン制御機構の解明のため、STOPPのプロテアーゼドメインとストマチンとの複合体の構造決定を主に行った。これまで構造決定に成功しているものと異なる配列のストマチンペプチドを用いSTOPPのプロテアーゼドメインとの複合体の構造を決定した。その結果、STOPPプロテアーゼドメイン二量体が、これまで報告されている二量体構造と大きく異なるため、プロテアーゼは基質ストマチンの切断の際に二量体構造を大きく変化させることが明らかになった。さらにSTOPPのOB (Oligonucleotide Binding)ドメイン単体の構造解析に成功した。結晶構造からこのOBドメインは二量体を基本とした12-24量体のオリゴマーを形成できること、STOPP-ストマチン複合体における足場として機能しうることが明らかになった。 以上のようにSTOPPによるストマチン制御機構解明の研究は順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストマチンの機能制御パートナータンパク質STOPPによるストマチン制御機構解明の研究では、2種類のX線結晶構造解析に成功しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ストマチンの機能制御パートナータンパク質STOPPのプロテアーゼドメインが基質ストマチンを切断する段階の複合体構造が明らかになっていないため、引き続きSTOPP-基質ストマチンペプチド複合体の結晶化と構造解析を進める。またプロテアーゼにより切断されず結合するストマチン(阻害ストマチン)とSTOPPプロテアーゼドメインとの複合体の結晶化と構造解析も行う。 ストマチンの全体構造解明については、膜貫通領域を含む全長タンパク質の構造解析であり、これまでに結晶は得られているが構造解析に成功していない。引き続きタンパク質の調製と結晶化を進める。
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Causes of Carryover |
計3年間の使用予定額のうち初年度である平成26年度は全体の6割程度の支出を見込んでいたが、次年度以降の物品購入費も同程度支出すると考えられることから、物品購入費を予定より少なく済ませたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も平成26年度と同様に研究を進める。平成26年度と同程度、物品購入費に当てる予定である。
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