2015 Fiscal Year Research-status Report
DNAメチル化導入を制御する蛋白質複合体と染色体凝縮因子との構造的関連性
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26440039
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鎌田 勝彦 国立研究開発法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (70360526)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛋白質複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ゲノムのエピジェネティックな遺伝子発現抑制機構として、転写装置と共役した遺伝子サイレンシングが報告されている。その中でも、RNA-directed DNA methylation (RdDM)は、DNAのde novoメチル化による発現抑制機構の一つであり、遺伝学的解析の結果から、この機構に関与する様々な蛋白質因子が同定されている。その中の幾つかは、染色体凝縮に関わる蛋白質に類似した構造的特徴を有しており、遺伝子不活性化機構と染色体形成機構の関連性が注目されている。 DDR複合体は、RdDMのメチル化反応を受けるDNA基盤を確保すると考えられ、いくつかの遺伝子産物で構成される。文献によると、これらの3または4つの遺伝子産物が、in vitroにおいて相互作用が確認されているが、共発現の結果、相互作用が確実視される組み合わせは、SMC蛋白質様のドメインを有するDMS3とDMS7であった。 平成27年度も、遺伝子のクローニングと各蛋白質の相互作用実験を中心に進めた。DMS3はそのN末端領域の欠失によって可溶性を示した。この蛋白質は、全長のDMS7と安定な複合体を形成することがゲル濾過の実験で明かとなった。しかしながら、一部大腸菌で切断される問題があったため、この複合体を大量に精製するための発現系を再構築した。 加えて、DMS3と構造が似ているバクテリアSMC蛋白質のドメインの立体構造解析をおこなった。SMC蛋白質は真核生物のコンデンシンによく似た複合体であり、核様体構造の維持と分離に重要な働きを担っている。加えて、この蛋白質のDNA結合能を蛍光偏向解消法によって調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共発現の結果、相互作用が確実視される組み合わせは、DMS3とDMS7だけであった。この点は当初の予定を変更させる必要があった。そのため平成27年度は、遺伝子のクローニングと各蛋白質の相互作用実験を再確認し、複合体を大量に精製するための発現系を再構築した。加えて、DMS3と構造が似ているバクテリアのSMC蛋白質のドメインの立体構造解析が進んだことで新たな知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
先に構造解析が終わった、SMC蛋白質のドメインの構造解析の結果については、いくつかの遺伝学的知見と併せ、論文化させる予定である。DMS3-7精製複合体については、MALDI-TOF質量分析や各種プロテアーゼによる限定分解のステップを駆使し、各蛋白質の構造的に安定なドメインで構成される最小構造領域を決定する。
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Causes of Carryover |
研究の進行度から判断して、次年次に使用する方が得策と判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的に大きな誤差ではない。出張費に使う予定である。
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Research Products
(3 results)