2014 Fiscal Year Research-status Report
ADAM/ADAMTSプロテアーゼによる基質認識と制御機構の構造生物学的研究
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26440040
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
武田 壮一 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80332279)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロテアーゼ / マルチドメイン / 蛋白質複合体 / X線結晶構造解析 / 構造生物学 / 基質認識 / 活性制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
主にI型膜タンパク質のADAMおよび可溶型のADAMTSのいずれも触媒ドメイン以外に複数の機能ドメインを持つマルチドメインプロテアーゼである。マルチドメイン構造が機能発現に重要と考えられるが、部分ドメインではなくマルチドメイン全体の立体構造が明らかになっているのはそれぞれのファミリータンパク質のごく一部に限られる。本研究では複数のADAMおよびADAMTSを対象に、昆虫細胞あるいは哺乳動物細胞を用いた大量発現系の構築を進め、マルチドメインを保持した状態で結晶構造を解明し、立体構造に基づく機能解析を行うことによりこれらプロテアーゼの基質認識機構とその調節メカニズムを明らかにすることを目指す。 本年度はまず、ヒトADAM28、ADAM17、ADAMTS5およびマウスADAM17の複数の機能ドメインからなる様々なコンストラクトを作成し、バキュロウィルス・昆虫細胞(Sf9)の系で発現するかどうかの確認を行った。いくつかの候補となるコンストラクトについて大量発現、精製、結晶化を進めているが、いずれも発現量が少なく、十分な結晶化スクリーニングのためには今後さらなる条件検討が必要である。一方で、ヒトADAM17について、プロドメイン(P)+メタロプロテアーゼ(M)ドメインが大腸菌で発現できたとの他グループからの報告があり、追試を行った。ヒトADAM17、ADAM28およびマウスADAM17のPMドメインについては、可溶性各分への発現は確認することはできなかったが、新たに封入体に発現したタンパク質のリフォールディング条件を見出すことが出来た。現在リフォールディング条件の最適化を進め、結晶化純度の試料が得られるか、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ADAM17およびADAM28の細胞外ドメイン全体の構造解析を目的とした発現コンストラクトは残念ながら、結晶化に持ち込める十分な発現量とクオリティーをまだ得ることが出来ていない。内在のプロテアーゼ活性による分解の可能性が示唆されたため、活性部位の変異体などを作成したが、改善は見られず、難航している。今後、Sf9以外の細胞(Sf21やHighFiveなど)を使う等の検討が必要であり、研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで昆虫細胞による発現系はLife technology社のpFastBacシステムおよび同社のSf9細胞で全て行っていた。発現量による問題はSf21やHighFiveなど別の細胞を用いる等で改善できないか、あるいはCHOなど動物細胞を用いた系も考慮に入れ検討を進める。PMドメインについては大腸菌封入体からのリフォールディングタンパク質を用いて結晶化を進める。
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Causes of Carryover |
当初計画では結晶化試料は全て昆虫細胞Sf9および動物細胞を用いた大量発現系による生産を予定していたが、予備実験でSf9での発現量が思わしくなく、年度途中で大腸菌封入体からのリフォールディング実験を取り入れた。このため、動物細胞や昆虫細胞を大量培養するために予定していた培地の購入を先送りしたため、次年度使用額が生じた。リフォールディング実験には新たな試薬の購入は必要なく、既に所持していた大腸菌用の培地・試薬等を利用することが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでとは異なる細胞株を入手し、それらを用いて発現量の改善が見られないか検討を進める。また、コンストラクションと大量発現の条件検討に予想以上に手間が生じることが分かって来たため、研究の効率化のために昆虫細胞やカイコを用いた大量発現系の構築について一部業者に受託することも検討する。
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