2015 Fiscal Year Research-status Report
ADAM/ADAMTSプロテアーゼによる基質認識と制御機構の構造生物学的研究
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26440040
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
武田 壮一 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (80332279)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロテアーゼ / マルチドメイン / 蛋白質複合体 / X線結晶構造解析 / 構造生物学 / 基質認識 / 活性制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主にI型膜タンパク質として膜タンパク質のシェディングに関わるADAMプロテアーゼおよびその類縁で可溶型のADAMTSプロテアーゼの基質認識機構と活性調節機構の構造生物学的研究を進めている。前年度に引き続きプロドメインによる活性化調節機構の解明を目的にPMドメインのヒトADAM17, 28およびマウスADAM17、ヒトADAMTS5の昆虫細胞による発現および大腸菌封入体からのリフォールディングによる試料調製進めたが、残念ながら結晶を得るのに十分のクオリティーのタンパク質試料を得ることが出来なかった。 一方、基質認識機構についてADAMTS13のエキソサイト3を含むSドメインと基質であるVWFのエキソサイト結合領域の融合タンパク質を設計し、リンカー部の長さを4アミノ酸から12アミノ酸まで変えた複数のコンストラクトを作成し、大腸菌封入体からのリフォールディングを行って結晶化試料を調製し、結晶化を行った。様々な条件での結晶化スクリーニングにより、主に、三つの異なる条件で再現よく結晶を得ることに成功した。これらの結晶を用い、2016A期のSPring8でのマシンタイムで回折データを収集し構造解析に進む予定。これにより、ADAMTS13によるVWFのエキソサイト認識機構の解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初より膜型ADAMのエクトドメイン全体の結晶構造の解明を目標としていたが、いまだ結晶構造解析に進むだけの発現量が得られず、進展できていない。プロドメインによるプロテアーゼ活性調節機構の理解のためにプロドメインとプロテアーゼドメインを含むコンストラクトを多数作成したが、いまだ結晶が得られていない。大腸菌発現、封入体からのリフォールディングによる試料調製を行ったが、可溶化は十分なされたもののジスルフィド結合の均一な試料の調製が困難であり、システイン残基の変異導入も行ったが、結晶化する試料の調製には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
プロドメインによるプロテアーゼ活性の調節機構の付いて、大腸菌封入体からのリフォールディング条件の最適化をさらに進める。一方、ジスルフィド結合の不均一性は主にプロテアーゼドメインに由来すると考えられる。プロドメインを大腸菌で、プロテアーゼドメインを昆虫細胞で調整し、複合体化する等の工夫を試してみる。あるいは蛇毒より調製したADAMホモログ蛋白質に大腸菌で調整したプロドメインを結合させ構造解析できないか、の検討も行ってみる。ADAMTS13のSドメインとVWFの融合タンパク質の結晶構造を解き、エキソサイト認識機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初、昆虫細胞を用いた発現系を主に用いて結晶化試料の調製を進める計画であったが、昆虫細胞の系での発現がうまく行かないことが判明し、大腸菌による封入体発現およびリフォールディングによる試料調製多く取り入れた。そのため昆虫細胞での試料調製に必要な培地等の購入の必要が無くなったため次年度に持ち越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養、試料調製、結晶化等を効率化するため、当該年度より実験補助員を雇用している。研究計画を進めるため、次年度もこの実験補助員を雇用する予定でそのための人件費に充てる予定。
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