2014 Fiscal Year Research-status Report
脱ユビキチン化酵素TRE17によるクラスリン非依存性カーゴ蛋白質の細胞内輸送制御
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26440044
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
船越 祐司 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30415286)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜輸送 / 脱ユビキチン化 / リサイクリング |
Outline of Annual Research Achievements |
受容体などの細胞膜蛋白質は、細胞内に取り込まれた後、リソソームによる分解を受けるか、あるいは膜へとリサイクリングされる。この輸送機構は、膜蛋白質の機能発現において、細胞膜上の発現量や局在を規定する重要な制御機構である。取り込まれた膜蛋白質の分解かリサイクリングかの選択には、ユビキチン修飾が重要な役割を担っている。本研究では、クラスリン非依存性エンドサイトーシス(Clathrin-independent endocytosis: CIE)によって細胞内に取り込まれる膜蛋白質(CIEカーゴ)の細胞内輸送における脱ユビキチン化酵素TRE17の機能解析を行うものである。本年度は、以下のような研究成果を得た。 1)TRE17をHeLa細胞に過剰発現させ、CIEカーゴ蛋白質の取り込み後の細胞内輸送を解析したところ、TRE17の過剰発現により、CIEカーゴ蛋白質のリソソームへの輸送が抑制されることが明らかとなった。一方で、クラスリン依存性カーゴ蛋白質であるトランスフェリン受容体の輸送には影響がみられなかった。また、2)TRE17は、CIEカーゴ蛋白質を脱ユビキチン化すること、それにより、標的CIEカーゴ蛋白質を安定化させることを見出した。さらに、3)TRE17を過剰発現することにより、CIEカーゴ蛋白質の1つであるMHCIの細胞膜表面上の発現量が増加することを明らかにした。これらの結果より、TRE17はCIEカーゴ蛋白質を脱ユビキチン化することにより、それらカーゴ蛋白質のリサイクリングを促進し、細胞膜上での発現量を増加させることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、脱ユビキチン化ドメインを有するTRE17に着目し、CIEカーゴ蛋白質の細胞内輸送制御への関与を検証し、そのメカニズムを解明することを目的としている。本年度は、1)TRE17によって輸送が制御される標的蛋白質を同定し、2)その標的蛋白質がTRE17によって脱ユビキチン化されること、3)それにより、標的蛋白質の安定性、および細胞膜表面上の発現量が調節されることを検証すること、を計画していた。我々は、報告されているCIEカーゴ蛋白質の細胞内輸送におけるTRE17の効果を検討し、TRE17が、MHCI、Tac、CD44、CD98、CD147(いずれもCIEカーゴ蛋白質として報告されている)のリソソームへの移行を抑制すること、一方で、GPIアンカータイプのCD59、CD55の輸送には顕著な効果を示さないことを明らかにした。また、クラスリン依存性のカーゴ蛋白質であるトランスフェリン受容体の輸送にも作用しないことを見出した。さらに、CD98、Tacを用いてこれらCIEカーゴ蛋白質がTRE17によって脱ユビキチン化されること、それにより蛋白質が安定化することを証明した。また、TRE17の過剰発現により細胞膜表面上のMHCI発現量が増加することを明らかにした。以上のように、本年度は予定していた研究計画をほぼ実行し、期待した研究成果を得ることができた。従って、現在までのところ、本研究課題は順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、本年度は、TTE17がCIEカーゴ蛋白質を脱ユビキチン化することにより、リソソームへの移行を抑制するとともにリサイクリングを促進し、標的CIEカーゴ蛋白質の安定化と細胞膜上の発現量増加に寄与することを明らかにした。残りの2年間は、TRE17による輸送制御メカニズムの解明、およびTRE17を介した細胞機能の解明を目指し解析を進めていく。また、病態との関連についても検討する予定である。 TRE17は、細胞内膜輸送に関わる低分子量G蛋白質Arf6と相互作用することが報告されている。Arf6は、CIEカーゴ蛋白質の取り込み後の細胞内輸送、リサイクリングにおいて重要な役割を果たしていることが明らかにされているが、そのメカニズムは不明である。本研究では、Arf6とTRE17との関係を明らかにすることにより、TRE17を介したCIEカーゴ蛋白質のリサイクリング制御メカニズムの解明を目指す。 さらに、メカニズムの解明と平行してTRE17が関与する細胞機能を明らかにし、その際のシグナル経路を解明する予定である。TRE17は、CIEカーゴ蛋白質のリサイクリングを制御することにより、細胞膜上の蛋白質発現量を調節していると考えられる。これにより、シグナル強度を調節し、結果、何らかの細胞機能が調節されていることが想定される。このような細胞機能を同定し、そのシグナル経路を明らかにする。また、TRE17は腫瘍形成や細胞のがん化との関連が指摘されていることから、TRE17を介した細胞機能制御と細胞のがん化との関連性についても解析を行う。
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Research Products
(4 results)