2016 Fiscal Year Research-status Report
コラーゲンを中心とした巨大分子分泌マシナリーの包括的解析
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26440046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 康太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (60549632)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コラーゲン / 分泌 / 小胞体 / COPII / 低分子量Gタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体で合成された分泌タンパク質は、小胞体上の特別なドメインであるER exit siteより、COPII被覆小胞に積み込まれて小胞体を出芽し分泌される。しかしながら、コラーゲン分子は小胞体内で巨大な三量体を形成するため、通常の小胞に入りきらない。このため、特殊なメカニズムで分泌されることが考えられていた。 研究代表者は先に、コラーゲンの積み荷受容体としてcTAGE5/TANGO1を見出し、前年度までの研究により、本複合体がSec12との結合して低分子量Gタンパク質であるSar1の活性を制御することによりコラーゲンの分泌を達成することを明らかにしていた。 本年度は、TANGO1に小胞体内腔側ドメインを欠落したアイソフォームTANGO1Sが存在することを見出し、これまでのTANGO1 (以降TANGO1Lと記述)とTANGO1Sの両者の複合体組成および機能について解析を行った。 Blue-Native PAGEとSDS-PAGEを組み合わせた二次元電気泳動を行うことにより、TANGO1LとTANGO1Sは900kDaと700kDaの巨大複合体をそれぞれ形成していることを見出した。また両複合体の組成を詳細に検討した結果、cTAGE5/Sec12がそれぞれ多量体化したものがTANGO1LおよびTANGO1Sと結合することにより、900kDaと700kDaの巨大複合体を形成していることを明らかにした。さらに、TANGO1Lのノックアウト細胞をCRISPR/Cas9システムにより、構築し、TANGO1S単独の分泌に対する機能を検討した。この結果、TANGO1SはTANGO1Lとは独立してコラーゲンの分泌に必要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究実績に記載した内容について順調に進捗を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によって見出したTANGO1の新たなアイソフォームであるTANGO1Sの機能解析はまだ不十分である。今後は、TANGO1Sが分泌機構にどのような役割を担っているか解析する。
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Causes of Carryover |
今年度は、前年度までの研究を発展させ、生化学的な解析を多く用いたが、既に購入済みの試薬等で多くまかなえた。来年度は、本研究をさらに発展させるため、細胞生物学的な解析のため、さらなる出費が考えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、前年度までの研究をさらに発展させるため、細胞生物学的な解析を多く用いる予定である。このため、新たな試薬及び器具の購入が必要と考えられる。
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