2015 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチン様タンパク質MNSFβによる細胞分化の分子制御機構の解明
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26440054
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中村 守彦 島根大学, 産学連携センター, 教授 (20155865)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ユビキチン様タンパク質 / 破骨細胞 / 細胞分化 / RANKL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ユビキチン化に準じたMNSFβ化が制御する細胞分化の調節機構を解明し、この新しいタンパク質翻訳後修飾機構と他のユビキチン様タンパク質およびユビキチンシステムとの共通点と相違点を明確にすることにある。 当研究室ではこれまでに、pro-apoptotic タンパク質Bcl-GのMNSFβ化がアポトーシスを促進し、逆にendophilin IIのMNSFβ化はファゴサイトーシスを抑制することを明らかにした。 本年度は、初年度の研究成果を受けて、MNSFβによる破骨細胞分化の制御機能を詳細に検討した。具体的には、マウスマクロファージ系細胞株Raw264.7をRANKL刺激して、破骨細胞への分化過程におけるMNSFβ化の役割を検討した。MNSFβsiRNA によるノックダウンおよびMNSFβcDNAを活用した過剰発現実験により、ERK/MAPK経路を中心にした細胞内情報伝達におけるMNSFβ機能が明確になった。加えて、MALDI-TOF MS フィンガープリント法により、MNSFβが非共有結合する標的分子として、新規heat-shockタンパク質を同定した。MNSFβはATP存在下でこのheat-shockタンパク質と会合する。これまで、MNSFβが共有(イソペプチド)結合する標的タンパク質として、上記のBcl-Gやendophilin IIなどを見出していたが、このMNSFβ化を伴わず、相互作用を示すタンパク質の同定は世界で初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って実験を順調に遂行でき、最終年度に繋がる成果を上げることができた。研究の主目的であるユビキチン様タンパク質MNSFβの細胞分化における制御機能の基礎検討を終えた。その過程で、MNSFβのパートナータンパク質として新しいheat-shockタンパク質を同定した。MNSFβが極めて凝集性の高いタンパク質であることを鑑みると、この分子シャペロンとの相互作用は意義深い。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が順調に進展したことから、効率よく研究費を使用できたが、本研究に極めて関連深い新しいタンパク質を発見したことから、本タンパク質のcDNAクローニング等に研究費を使用し、当初の研究計画以上の進展を目指す。尚、研究を遂行する上で障害となる課題等は全くない。
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Causes of Carryover |
本研究を順調に遂行する過程で、当初の計画にないが本テーマに深く関連した重要なタンパク質を発見したため。このタンパク質の機能解明が本研究の進展に大きく寄与することから、研究費の一部を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究過程で見出した新規heat-shockタンパク質のcDNAクローニングやトランスフェクション等の実験のために、繰越した研究費を充てる。当初に計上していた研究費は、その計画に沿って使用するが、進捗状況を勘案して、より質の高い研究を遂行する。
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Research Products
(2 results)