2017 Fiscal Year Annual Research Report
The analysis of the molecular mechanism of amphibian metamorphosis using genomic editing
Project/Area Number |
26440057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
矢尾板 芳郎 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (00166472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田澤 一朗 広島大学, 両生類研究センター, 助教 (10304388)
中島 圭介 広島大学, 両生類研究センター, 助教 (60260311)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 変態 / 甲状腺ホルモン / 無尾両生類 / げっ歯類 / 脳の変態 / 肝臓の変態 / ネッタイツメガエル |
Outline of Annual Research Achievements |
無尾両生類は、甲状腺ホルモンの血中上昇の時に、四肢の発達、尾や鰓の退縮を含む様々な、ほぼ全身の再構築を行う。今まで、爬虫類や鳥類や哺乳類ではこのような変態の現象は無いと考えられた。しかし、これらの動物でも甲状腺ホルモンの上昇があり、それが、親の世話を必要としなくなり、自律性の生存力を獲得する前後に観察されることが生態学的立場から報告されるようになってきた。本研究では変態が哺乳類の出生に対応するか否かを検討した。げっ歯類では生後3週間に甲状腺ホルモンの上昇が観察される。しかし、無尾両生類の変態とげっ歯類の出生に共通すると考えられてきた現象、皮膚の角質化、ヘモグロビンスィッチ、小腸の発達は時期的に一致しない。肝臓におけるアルブミン産生や一部のウレアサイクル関連酵素産生も無尾両生類の変態時には明確でなかったが、変態時に増加する酵素もあり、共通する遺伝子発現も見られた。ネッタイツメガエルの変態時に脳で発現上昇する遺伝子を11個、同定し、詳細に検討した。それらはげっ歯類の生後3週間でも発現が増加することが報告されていた。マウスの脳で生後3週間に増加している蛋白質の6個の遺伝子発現も無尾両生類の脳で上昇していることも明らかにした。これらの遺伝子には甲状腺ホルモン依存的に発現が増加する遺伝子、低甲状腺ホルモン状態で発現が降下する遺伝子、甲状腺ホルモン受容体遺伝子のノックアウトで発現が低下する遺伝子等が含まれていた。これらの実験結果は、げっ歯類の生後3週間の高甲状腺ホルモン状態に無尾両生類の変態と同様な遺伝子発現が脳で起きていることを示しており、このことは、げっ歯類の脳で変態が起きていることを強く示唆している。 この他に2種類の甲状腺ホルモン受容体遺伝子アルファとベータのノックアウトガエルをそれぞれ作製して、変態時に観察される各々のノックアウトガエルにおける表現型の異常を報告した。
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