2014 Fiscal Year Research-status Report
新規アダプタータンパク質GAREMの生理機能の解析
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26440060
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
小西 博昭 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (40252811)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞情報伝達 / アダプタータンパク質 / 細胞増殖因子 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
1、本年度はGAREM1の核局在に関与するタンパク質の検索や核内での機能についての解析について重要な知見を得た。 これまでに GAREM分子種に結合するタンパク質として14-3-3epsilonを同定していた。14-3-3分子種は様々なタンパク質の機能制御に関与することが知られている。GAREM分子中にはリン酸化セリン・トレオニンを含む典型的な14-3-3結合配列が存在し(セリン650番目)、その部分が14-3-3との結合に必要であると示唆された。しかし、その部分を別のアミノ酸に置き換えた変異体でも14-3-3結合活性があったため他の結合部位を検索した。その結果、GAREM1のアミノ末端に存在する核局在配列(NLS:7-20番目のアミノ酸部分)の近傍に存在する LDL(ロイシン-アスパラギン酸-ロイシン)の部分も14-3-3結合部位であることを見出した。このLDLを含む非リン酸化型の14-3-3結合モチーフは新たなタイプとしていくつかのタンパク質中に存在することがわかっている。ところで、GAREMファミリーはアミノ末端側に CABIT(cysteine-containing, all-in Themis)領域とカルボキシル末端側にSAM(sterile alpha motif)領域を持つ。GAREMにおけるこれらの役割についてはこれまで不明であったが、この2つの領域がお互い結合し、分子内相互作用をしている可能性も見出した。前述のNLSはCABIT領域内に存在するため、GAREM1のCABIT領域にSAM領域が結合することによりNLSが機能できず、GAREM1は細胞質に留まり、NLS近傍に14-3-3が結合するとCABIT-SAMの結合が外れ、NLSが機能し、核へ移行することが示唆された。本結果を現在論文にまとめ、投稿する予定である。 2、GAREM1およびGAREM2のコンディショナルノックアウト(KO)マウスの作製はCreリコンビナーゼ発現マウスと交配することで、両タンパク質のヘテロKOマウスが誕生しており、さらにホモKOアウトマウスの作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、CreおよびFlippase発現マウスの入手や、交配、妊娠、出産までの時間を考慮すると、KOマウス作製状況はおおむね予定通りである。 2、GAREM分子の詳細な機能解析については、GAREM1の核局在のメカニズムに関してはおおむね解決した。しかし、GAREM1のみが核に存在する生理的意義については未だ不明のままである。GAREM1の核特異的結合タンパク質の同定とともに解析を急ぎたい。 3、GAREMの核局在についての解析により、GAREM分子内のCABITおよびSAM領域がお互いに結合するという意外な結果が得られた。本結果はこれまで機能未知であったCABIT領域の新たな役割の提示となり、興味深いことであると思われる。今後はリン酸化など、GAREMの翻訳後修飾がCABIT-SAM領域結合に与える影響などについて解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
GAREM分子種遺伝子改変マウスの作製は現在CAG-Cre(全身でCreリコンビナーゼを発現する)発現マウスと交配し、全身でGAREMの発現がなくなるKOマウスを得る予定である。本年度前半までにはGAREM1のホモKOマウスが誕生する予定であるが、胎生致死の可能性もあるため、胚発生時の解析も注意深く行う予定である。また、胎児由来線維芽細胞を樹立し、培養細胞レベルにおけるGAREM発現の生理的意義について解析を行う。本実験の結果しだいであるが、CAG-Cre発現マウスの交配のみならず、特異的部位においてGAREMの発現が抑制されるKOマウス作製のため、部位特異的Cre発現マウスとの交配も検討する。 本年度実績に記したように、GAREM内のCABITおよびSAM領域の機能の一部を明らかにした。しかし、別のタンパク質との結合への関与など、他にも機能があることが予想される。現在のところ、細胞増殖因子刺激時、すなわちチロシンリン酸化を受けたGAREM結合タンパク質についてはGrb2およびShp2との結合以外は未解析である。今後、適当な培養細胞系を用いて、細胞増殖因子刺激を受けた細胞内のGAREM複合体を精製し、それに含まれるタンパク質群の網羅的解析を行う予定である。 GAREM2は脳特異的タンパク質であるため、脳機能における役割を明らかにしていく予定であるが、脳内のいかなる部分に発現が多いかなど予備的に解析するべきことがある。本年度はKOマウス作製時に有用となる知見を得るために、GAREM2の脳における発現を週齢や性別など様々な条件で明らかにしていく。 また、別グループの解析により近年明らかになった、脳におけるGAREM2とIntersectinの相互作用の確認とその役割についても併せて解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
昨今研究試薬の時期的なディスカウントにより、定価ベースで支出額を算出したためわずかに残金が発生してしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度に繰り越しし、使用させていただく所存である。
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[Journal Article] tRNA modifying enzymes, NSUN2 and METTL1, determine sensitivity to 5-fluorouracil in HeLa cells.2014
Author(s)
Okamoto M, Fujiwara M, Hori M, Okada K, Yazama F, Konishi H, Xiao Y, Qi G, Shimamoto F, Ota T, Temme A, Tatsuka M.
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Journal Title
PLoS Genet.
Volume: 10(9)
Pages: e1004639.
DOI
Peer Reviewed / Open Access