2016 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative analysis of intracellular signaling for environmental stimuli in a single E. coli cell
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26440073
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福岡 創 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (50447190)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 走化性 / 感覚受容 / 情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は紫レーザー光照射によるケージドセリン開裂を利用し,セリン刺激とべん毛モーターの回転方向転換の時間差から,大腸菌1細胞について刺激に対する細胞内シグナルの伝達時間を計測している.平成27年度までの研究で,大腸菌の細胞内では,反応拡散を基本としたシグナル伝達分子CheY-P濃度の減少が受容体クラスターからの距離に依存した時間差を伴って細胞内を伝搬すること,細胞極で受容体クラスターに局在したCheZがCheY-Pを脱リン酸化することで,時間差を伴ったCheY-P濃度減少の細胞内伝搬を生み出していることが明らかになった.本成果は平成29年度中に学術誌への投稿を予定している.平成28年度は,研究室移転に伴って再構築した計測システムの評価を行った.GFP励起用の青レーザーの導入を念頭に,顕微鏡システムの改変を試みたところ紫レーザーに光学系に起因する干渉縞が現れた.干渉縞による試料面での紫レーザー強度の不均一性はケージドセリンの開裂割合に大きく影響するため,紫レーザーの干渉縞の除去を試みた.現時点において幾分改善されたが,正確な計測のためには今後の研究によって干渉縞をできる限り抑える必要がある.またシグナル伝達分子のGFP融合体(CheY-GFP)発現細胞について,紫レーザー照射によって忌避応答してしまうことが予期せず分かってきた.現在,紫レーザーに対し忌避応答しない菌株の作製および評価を行っている.本研究によって大腸菌1細胞のシグナル伝達を,シグナル伝達分子の細胞内動態として描写できるようになってきた.しかし研究の進行にあたり,技術的および生理学的側面の双方から課題もでてきており,今後の研究遂行にはこれらの課題の克服が必要である.
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Research Products
(5 results)