2015 Fiscal Year Research-status Report
鞭毛繊毛に微量しか存在しない新規ダイニンの構造・機能解析
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26440074
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
八木 俊樹 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (40292833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダイニン / 鞭毛・繊毛 / 微小管 / 変異株 |
Outline of Annual Research Achievements |
鞭毛・繊毛の屈曲運動は多種類のモータータンパク質・ダイニンによって駆動されている。最近、緑藻クラミドモナスにおいて、鞭毛根本に局在する微量なダイニン(マイナーダイニン)が新たに見出された。本研究では、このダイニンの機能を調べるために、次の2つの実験を行った。 1)マイナーダイニンの変異株の単離 クラミドモナスゲノムに外来遺伝子を挿入して遺伝子を破壊する株のライブラリーを作成し、その中からマイナーダイニン重鎖の破壊株を単離した。遺伝子破壊は米国スタンフォード大学の Jonikas 博士の研究室で作成されたものを用いた。1次スクリーニングでは、破壊箇所のゲノムDNAの部分配列を読み、それぞれの重鎖遺伝子破壊株の候補を得た。2次スクリーニングでは、それらの細胞から鞭毛を単離し、各ダイニン重鎖に特異的な抗体を用いたウェスタン解析により、それが実際に重鎖を欠失しているかを調べた。4種類あるマイナーダイニンのうち、これまでに2種類の欠失株を得ることに成功した。 2)ダイニンのモーター活性の解析 クラミドモナス鞭毛からダイニンを単離精製し、その微小管モーター活性を in vitro で調べる実験を行った。精製には、陰イオン交換カラム MonoQ を用いた。これまでに、このカラムから各マイナーダイニンが溶出される位置を抗体を用いて確認した。4種類のマイナーダイニンのうち、DHC3, DHC12 は他のメジャーダイニンとは重ならない溶出位置に分離されたが、DHC4, DHC11 は他のメジャーダイニンの溶出位置と重なりうまく分離できないことがわかった。現在、多量の細胞から、前者2つのダイニンを精製し、微小管に対するモーター活性を調べる実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)突然変異株の作成は順調に進み、ほぼ、すべてのマイナーダイニンの変異株が単離できる見通しがたった。
2)各ダイニンのモーター活性を in vitro で調べているが、それぞれダイニンの精製法をまだ確立していない。そのため、in vitro の運動解析実験は遅れている。これまで私が用いてきた精製方法では、存在量の多いメジャーダイニンとマイナーダイニンがうまく分離できなかったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
1)突然変異株の単離では、1次スクリーニングがすでにおわり抗体を用いた2次スクリーニングに入っている。スクリーニングが終わり次第、それぞれの株の運動性を詳しく調べる予定である。これにより、それぞれのダイニンの in vivo の機能が明らかになるはずである。
2)まず、メジャーダイニンの混入がない、マイナーダイニンの単離精製法を確立する。クラミドモナスには各種ダイニン欠失変異株が存在する。今後は、さまざまなダイニン変異株を組み合わせ、目的のマイナーダイニンと重なるメジャーダイニンを欠失させた株を作成し、それらの鞭毛から出発して、混入するメジャータイプダイニンがない状態でマイナーダイニンを精製する予定である。
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Research Products
(4 results)