2014 Fiscal Year Research-status Report
神経刺激による膵島細胞のシグナル伝播とホルモン分泌連鎖のダイナミクス解析
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26440083
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80254308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (70298545)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵島細胞 / 分泌顆粒 / 開口放出 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
膵島α細胞の培養細胞株であるαTC6細胞の細胞内カルシウムイオン濃度と細胞内分泌顆粒動態を解析する測定系を確立した。αTC6細胞の細胞内カルシウムイオン濃度は、アルギニン(10 mM)刺激直後に急激に増加し、その後緩やかに減少した。アルギニン刺激に伴うグルカゴン分泌は、刺激直後からの5分間と、刺激の10分後から30分後の間で増加した。一方、分泌顆粒の移動速度は、個々の顆粒で大きく異なっていたが、アルギニン刺激の5分、10分、30分後の分泌顆粒の平均速度を算出したところ、10分後に有意に分泌顆粒の移動速度が上昇していることが明らかになった。これらの結果から、刺激の約10分後に活発になった分泌顆粒の動きが、細胞膜でのグルカゴンの開口放出の増加を促し、15分以降のグルカゴン分泌の増加につながっていると推察された。 次に、神経細胞としてマウスから単離した上頸神経節細胞を用いて、神経-αTC6細胞のin vitro共存培養系を確立した。神経とαTC6細胞を共存培養して、神経と接着しているαTC6細胞の細胞内分泌顆粒動態を解析したところ、接着していない細胞に比べて移動速度が減少していた。神経突起と疎に接着している細胞では全体的に移動速度が低下し、密に接着している細胞では顆粒がほとんど動いていなかった。 また、バイオルミネッセンスイメージング技術を用いて、膵島細胞のホルモン分泌をビデオレートで計測する手法を確立した。プログルカゴン遺伝子とガウシアルシフェラーゼの融合蛋白質をαTC6細胞に発現させ、発光イメージングによる開口放出の可視化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した今年度の研究計画のうち、1)神経と膵島細胞のin vitro共存培養系の確立については、神経とα細胞の共存培養に成功した。2)神経刺激に伴う膵島細胞へのシグナル伝播のダイナミクス解析とその分子機構の解明については、その基礎データの収集を始めている。3)神経刺激に伴う膵島細胞のホルモン分泌のダイナミクス解析とその分子機構の解明については、それに必要なイメージング技術の確立に成功した。 しかし、α細胞をによる研究が先行しており、β細胞を用いた実験はあまり進んでおらず、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、現在データが集まりつつあるα細胞の分泌顆粒動態と開口放出のイメージングに注力し、詳細な解析を行う。そして、神経とα細胞の相互作用の研究へと展開していく。さらに、コロニー内でのα細胞とβ細胞の相互作用の分子機構を明らかにし、動物レベルの実験へと展開していく。
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Causes of Carryover |
他の研究費で購入した共通性の高い試薬・器具・用品などを無駄のないように効率的に使用し、コストの削減を図った結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の基礎的な研究から、本格的な発光イメージング法の展開、動物レベルでの実験の開始などに必要な物品費に使用する。また、成果発表や情報収集のための旅費にも使用する。
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Research Products
(4 results)