2014 Fiscal Year Research-status Report
AAA+シャペロンがリング構造を利用して凝集タンパク質をほぐす仕組み
Project/Area Number |
26440085
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
渡辺 洋平 甲南大学, 理工学部, 准教授 (40411839)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 分子シャペロンン / ClpB / 凝集体 / AAA+タンパク質 / 協同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
AAA+タンパク質の一つである分子シャペロンClpBは、変性・凝集したタンパク質をほぐし(脱凝集)、再生することができる。ClpBは、サブユニット内にAAA1、AAA2、と呼ばれる2つのATP結合ドメインを持ち、リング状の6量体を形成して働く。この6量体内では、AAA1、AAA2それぞれがリング状に会合する。ClpBは、凝集体内のタンパク質を一つづつこのリングの中央の孔に通すことで、ほぐすと考えられている。本研究では、このClpB6量体のサブユニットの並びを制御し、サブユニット間の協同性、および6量体リング全体の構造変化を明らかにし、脱凝集反応の分子機構に迫る。 まず、ClpBがタンパク質をリング中央の孔に通す、糸通し活性について、各AAAドメインでのATPの結合・加水分解、さらに、中央孔部分に保存されている芳香族アミノ酸の役割を調べた。その結果、変性状態のタンパク質であれば、ATPの加水分解なしに糸通しが起こること、またその際、ATPの結合や、リング中央の芳香族アミノ酸は、変性タンパク質の結合に重要な役割を果たしていることを見出した。 また私たちは、これまでに、変異導入したシステイン残基間のジスルフィド結合で、ClpBリング内で隣り合うサブユニットを固定する方法を見出している。これを利用して、ATP結合能、あるいは加水分解活性を失わせたサブユニットを6量体中に交互に並びいれたヘテロ6量体を多数作製し、解析をおこなった。その結果、ClpB6量体中の各AAAドメインは、それぞれ独立にATPを結合し、その加水分解はリング内で協同的に行われること、また、一方のAAAドメインからなるリングへのATPの結合が、もう一方のリングでの協同的な加水分解に必要であることを見出した。さらに、有意な脱凝集反応には、少なくとも一方のリングでの協同的なATP加水分解が必要であることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、3つのサブユニットを特定の並びで連結させたClpB6量体の作製は遅れているが、糸通し活性の解析、および、変異サブユニットを交互に導入したClpBヘテロ6量体の解析が大幅に進み、それぞれの成果を論文発表できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、3つのサブユニットを特定の並びで連結させたClpB6量体の作製を試みる。また一方で、変異導入したサブユニットを6量体リングに交互に並びいれる方法が、6量体リング内の協同性を調べる有効な手法であることも分かってきた。そこで、この方法を応用して、ATPの加水分解サイクルだけでなく、構造変化の協同性についても、同様の解析を進める。
|