2015 Fiscal Year Research-status Report
AAA+シャペロンがリング構造を利用して凝集タンパク質をほぐす仕組み
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26440085
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
渡辺 洋平 甲南大学, 理工学部, 准教授 (40411839)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子シャペロン / ClpB / 凝集体 / AAA+タンパク質 / 協同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
リング状の6量体を形成して働く分子シャペロンClpBは、AAA+タンパク質ファミリーに属し、1サブユニット中に、AAA1、AAA2と呼ばれる2つのAAA+モジュールを持つ。これらのAAA+モジュールは、それぞれATPを結合・加水分解し、そのサイクルに応じて構造を変化させる。平成26年度には、特異的なジスルフィド結合により、特定の変異を導入したClpBサブユニットを6量体リング内に交互に並びいれる方法を開発し、ATP結合・加水分解サイクルにおける協同性を解析した。平成27年度は、この系を利用して、構造変化の協同性の解析を進めた。その結果、ミドルドメインと呼ばれる棒状のドメインの構造変化が、隣接するサブユニットのミドルドメインの構造に影響を与える可能性が示された。また私たちは、ミドルドメインの先端に、ClpBのシャペロン活性に必須のアミノ酸残基が複数あり、隣接するサブユニットと相互作用することを見出している。光架橋試薬を用いた解析から、その相互作用先の部位をある程度絞ることができた。 最近、ClpBとともに働く分子シャペロンDnaKが、ヌクレオチド結合ドメインと呼ばれる部分でClpBのミドルドメインに結合し、ClpBのATP加水分解活性やシャペロン活性を制御することが明らかになりつつある。このDnaKによる制御と、ClpBリング内の協同性の関連を明らかにするため、DnaKとClpBからなる融合タンパク質を作製した。また、この融合タンパク質では、ClpBの活性が促進された状態にあることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3サブユニットを特定の並びで連結させたClpB6量体の作製など、一部の実験は遅れているが、特定の変異サブユニットを6量体リングに交互に並びいれる方法を用いた、構造変化の協同性の解析により、新たな成果が得られている。また、ClpBのサブユニット間の協同性が、シャペロン機能にどう関わるのかを解明するための有効なツールとして、DnaKとClpBからなる機能的な融合タンパク質の作製に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた成果の公表を進めるとともに、DnaKとClpBの融合タンパク質を用いた解析を進める。
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Causes of Carryover |
既存の物品・試薬等で十分な実験を行えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品・試薬の購入や成果の公表に使用するとともに、研究を強力に推進するための実験補助員の雇用にも使用する。
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Research Products
(4 results)