2014 Fiscal Year Research-status Report
多重染色超解像顕微鏡による細胞骨格と接着斑のパターン形成機構の解明
Project/Area Number |
26440091
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木内 泰 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70443984)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 超解像イメージング / 細胞骨格 / アクチン / 微小管 / 中間径フィラメント / 接着斑 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内では、アクチン繊維や微小管、中間径フィラメント、接着斑といった細胞内構造は相互に作用しながら、適切なパターンで配置され、方向性のある移動という高度な機能を実現していると予想される。この協調的なシステムを理解するため、光学顕微鏡では一見すると細胞内を縦横無尽に走っているように見える細胞骨格構造の空間的な位置関係を多重染色超解像顕微鏡法で解析を行った。その結果、細胞の中心に近い領域では、中間径フィラメントがストレスファイバーに絡まっており、ストレスファイバー間を架橋している様子が観察された。一方細胞の辺縁部では、中間径フィラメントはストレスファイバーではなく、微小管と絡まっている様子が観察された。また微小管は、ストレスファイバーや接着斑を横切っている場所では約100 nmほど持ち上がっている様子が観察された。さらにストレスファイバーや接着斑近傍での微小管の動態を観察するためにEB1-EGFPでラベルした微小管先端のライブ観察を行った。その後に細胞を固定して多重染色超解像を取得した。微小管先端の軌跡の各点に速度や高さを表示させ、アクチン線維や接着斑の超解像に重ね合わせた。その結果、微小管先端はストレスファイバーや接着斑に近接すると伸張速度が遅くなり、横切る時はその高さが上昇することが観察された。またストレスファイバーに乗り上げ、そのままストレスファイバーに沿った方向に伸びていく微小管も観察された。これらの結果から細胞内では細胞骨格間で部位特異的な微細な構造を形成し、さらに微小管はストレスファイバーを手掛かりにして3次元ネットワークを形成していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最近我々が開発した新しい多重染色超解像顕微鏡は、PALM/STORMといった単分子可視化法を利用した超解像顕微鏡法の染色方法を改良し、高密度ラベリングかつ多重染色を実現している。この顕微鏡法によってアクチンフィラメントは23 nmで分解され、1 μm(180サブユニット)あたりのラベル率は、12000ラベルまで到達した。さらに同一の細胞で3つの細胞骨格と接着斑の超解像を得ることができた。またTIRF照明とEpi照明で得られた二つの超解像の比を用いることで、3つの細胞骨格の3次元的な位置関係を可視化することにも成功した。この顕微鏡法によってアクチンフィラメントや微小管に絡みつく中間径フィラメントやストレスファイバーに乗り上げる微小管といった微細な構造を観察することができた。さらに微小管先端のライブ観察を組み合わせることで、微小管がストレスファイバーを乗り上げる時の動態を観察することができた。この顕微鏡法ならば、細胞骨格のパターン形成過程を解析することが可能となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
アクチン単分子のライブ観察を組み合わせることで、アクチン繊維がアクチンアークやストレスファイバーといった構造の形成における他の細胞骨格構造の寄与を調べる。またアクチン繊維や微小管、中間径フィラメントを架橋するタンパク質も同時に可視化することで、それぞれの細胞骨格が連結して形成される全体構造を明らかにする。細胞外刺激による極性形成時におけるアクチン単分子やEB1、Paxillinのライブ観察と多重染色超解像を組み合わせることで細胞骨格と接着斑のパターンの再構成のメカニズムを調べる。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成27年度請求額とあわせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費に744,598円、旅費費に500,000円使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)